とろけるくらい愛してる

　腕の中でびくびくと痙攣する斉木さんをしっかり抱きしめて、オレはどうするか迷っていた。
　本当は今すぐ奥まで突っ込みたい、ぐちゃぐちゃにとろけるまで突きまくりたいところで、股間が熱持ちすぎて痛いわ内股まで引き攣ってるわでとても我慢出来そうにないけど、泣いてるみたいにしゃくり上げる斉木さんの息遣いが心配で、動けなかった。
　こっちも泣きそうですと戦っていると、斉木さんは自ら腰をずらして、全部飲み込もうとしてきた。
　包まれたところが溶けているんじゃと思うほど、斉木さんの粘膜は熱を帯びていた。
　今、軽くいったみたいで、締め付けもすごい。
　そんな孔の中にずぶずぶと自分のものが飲み込まれていく。
『……早くって言ったろ、馬鹿』
　少しかったるそうに言って、斉木さんは身体を起こした。
　オレを全部咥え込んで、うっとりとした顔をしている。つい、ごくりと喉が鳴った。
　斉木さんは膝立ちになって更に深くまで受け入れると、苦しそうに唸り、それでいて口元には嬉しそうな笑みを浮かべて、片手をオレの腿の辺りについた。
　そしてその姿勢で、小さく腰を上下させた。
「さいきさ……」
　オレはあっけに取られてしばし見守った。
　目も、心も奪われる。
　だらしなく緩んだ顔で、気持ち良い気持ち良いと素直に伝えてくる斉木さんに瞬きも忘れる。
　もう一方の手は宙に浮いて、ふらふらと心もとない。
　オレはその手をしっかり掴んでやり、どこにもいかないよう引き止めた。
　斉木さんは嬉しそうに笑って、ますます動きを大きくした。
　その度に斉木さんの勃起したものがゆらゆらと揺れる。
　いや、無理だこれ…こんなの見せられたら我慢出来ない。
　オレも起き上がり、忙しなく息を継ぐ斉木さんの唇を塞いで強く吸った。応えて絡めてくる舌を貪りながら、前で揺れている斉木さんのそれをそっと手の中に包む。
『あ、鳥束……気持ち良い、鳥束の手……気持ち良い』
　斉木さんはオレの肩に頭を預けると、もっと触ってくれと腰を押し付けて。
　今さっき出したばかりなのにまだ硬い斉木さんのそれを、オレは力加減に気を付けて上下に扱いた。
　また、斉木さんのいい声が頭に響いた。
　掴んでいた斉木さんの手を首に回させ、空いた手で腰を支える。
　オレは斉木さんのをいじくりながら、抱えた腰めがけて身体をぶつけた。
　たちまち斉木さんの息が上がり、びくびくと痙攣が止まらなくなって、オレの興奮を煽った。
　出したいって事で頭が一杯になって、オレは夢中で斉木さんを貪った。
「斉木さんも出して、出して…いって、ねえ！」
　斉木さんの声が一番高くなる奥を重点的に擦り、音がするほど下腹を叩き付ける。
　全身が熱くて熱くて、汗が止まらない。
　斉木さんはひっきりなしに首を振って善がり、よだれを垂らしそうなほどいやらしい顔になって、すっかりとろけていた。
　鳥束、鳥束とうわ言のように繰り返すものだから、オレはすっかりのぼせ上り射精目指して斉木さんを抱きしめた。
　オレの肩を掴んでいた斉木さんの手が、骨を砕きそうになる。
　痛い、痛い、それ以上に気持ち良い、斉木さんと繋がってるとこ気持ちいい、溶ける、持ってかれる、もういく、いく――。
　さいきさん、さいきさん。
「――！」
　とりつか
　濡れた囁きを零し、斉木さんはひと際大きく身体を震わせた。オレを飲み込んだそこがぎゅうっときつく締まり、まるで搾り取るように複雑にうねってオレのものをしゃぶった。
「あ、すげぇ……」
　オレは喉が干からびそうなほどはあはあ喘いで、惰性で斉木さんのものを扱き続けた。お互い出して満足を得たけど、離れるのが嫌でだらだらといじくり続ける。
　斉木さんも同じらしく、抱き着いたままでいた。さっきまで掴んでいた肩をさすっては手を止め、また思い出したようにさすっている。
『……折れてはいないぞ』
「じゃあ平気っス。オレ結構頑丈でしょ」
　珍しく申し訳なさそうな声に、オレの調子は上がる。少しずきずきしてはいるけど、動かせないほどではないし、もし折れていたってちょっとの安静で治るのだから心配ないのだ。
　心配ない、まだ続けられる。
『少し、横になりたい』
「ええ、はい」
　本当はまだ離れがたいけど、それは隠して言う通りそっと横たえる。仰向けよりは横向きの方がいいのか、斉木さんは上になった足を身体の方に折り曲げて薄く目を閉じた。
　上は着てるのに、下は丸出しってなんか……くるなあ。
　自分のは間抜けに感じるのに、なんで斉木さんだとこんな色っぽんだろ。
　やべえだろ。
　どうしても目が行ってしまう綺麗な形したお尻を、オレは開き直って凝視した。その視線が一点に集中する。オレが出したものを垂れ流して、ひくひくしている孔に目が釘付けになる。
　斉木さん、まずいです非常に。
　早くなんか着るか風呂行くかしましょう。
　てかなんでそんな恰好なんだよねえ、それが楽なのはわかるけどそれまずいんだってねえ、ねえ斉木さん！
　それ誘ってるの？
　それ誘ってるよね間違いなく誘ってるよね！
『誘ってるよ』
　何か文句があるかと言わんばかりの迫力ある低音に、一瞬オレのアレがひゅっと縮み上がる。
　すぐに回復して、オレはすさまじい勢いで睨み付けてくる恋人に恐る恐る顔を近付けた。
　その格好は確かに誘ってるけど、その顔はどう見ても殺る気満々だ。
　いつ熱線が発せられてもおかしくないくらいだ。
　オレはそれらを乗り越えて、ちゅっと唇をくっつけた。
「斉木さん……好き」
　たちまち、斉木さんのまなざしが熱くとろけて、オレはほっとしてもう一度キスをした。