とろけるくらい愛してる
夕飯前と後の二人。
とろけるくらい愛してる
卑猥な妄想に脳を腫らし局部を腫らし、股間の痛みに耐えながら黙々とアイスを口に運ぶ鳥束の毒気に飲まれそうになるが、どうにか無視してストロベリーを楽しむ。 うかつなひと言だった…とは思っていない。 そのつもりで奴を招いたし、お互いそれはわかりきっている事で、だから鳥束もせめて食べ終わるまでは待つと思っていた。 ぱんぱんに膨らんだ風船のごとく欲望は今にもはちきれそうで、非常に危ういが、残りはあとひと口ふた口なのだから、持つと思っていた。 そんな目の前で、あっけなく風船は破裂した。 雄の欲望を駄々洩れにして鳥束が掴みかかってきた。 ふざけるな、やめろと抵抗するが、股間に手が伸びて動けなくなる。 「斉木さんだって、もうたってるじゃないスか」 形を確かめるように撫でられ、ますます硬くなるのがわかった。 迫ってくる顔を睨み付けるのが精一杯だった。 「そんな顔しないで斉木さん…ちゃんとあっためてあげますから」 ああそうかよ、上手く出来なかったら承知しないからな。 睨んだままキスを受け入れる。 迎え入れた鳥束の舌はひんやり冷たく、舐め探る口の中もあちこち冷えていた。 「じゃあ、オレもあっためてください」 鳥束は下唇を軽くついばみながら、ズボンを脱がせにかかった。引っ張り下ろされるに任せ、お返しに鳥束の下をはぎ取ってむき出しにする。 いつだって見えてるし、熱を溜め込んだ性器も見るだけでなく身体で覚え込むほどになったっていうのに、こうして目にすると頭の後ろが痺れたようにぼうっとなる。 思わず鳥束を押しやって寝転ばせる。 「斉木さん……」 うるさい、エロい顔だなんて、お前に言われるまでもなくわかってるよ。 鳥束に跨って、自分も同じようになったものを擦り付ける。 たちまち鳥束の頭の中からどぎつい色の波が怒涛のように押し寄せてきた。 軽い吐き気を伴う思考の奔流が、その実気持ち良い。 アルコールに酔うのに、似ているだろうか。 ふわふわと気持ち良くなって、もっと欲しくなる。 鳥束に覆いかぶさるように手をつき、どこか困ったような顔で小さく喘いでいる奴の唇を塞ぐ。 そのまま腰を動かすと鳥束の脳内が更に騒がしくなった。 口を塞いでいてもこうしてわかるのは良いのか悪いのか。 悪いわけない、こんなに気持ち良いのだから。 |
鳥束の右手が腰に回り、左手が股間に伸びた。互いのものをひとまとめに握られ扱かれ、きつく眉根が寄る。 「気持ち良い? これ好き?」 一時もじっとしていられないほどだと頷く。 鳥束はだらしなく緩んだ顔で笑った。 お前のその顔も、嫌いじゃない。 「ね、斉木さんも一緒にして 一緒に扱いてと手が掴まれた。伸ばしかけて手が強張る。 「……嫌スか?」 『ちがう……力が』 加減を誤りそうで怖かった。そのままを伝えるのが癪でためらっていると、鳥束は頭を持ち上げて頬にキスしてきた。 「大丈夫、ほら、一緒にやりますから」 少しだけ手が引かれる。無理強いは決してせず、こちらを最優先に気遣う鳥束に唇を引き結ぶ。 お前がどれだけ興奮しているか全部筒抜けなんだよ、力の制御が難しい程興奮してるってこれでわかって更に興奮したのも、全部わかってるんだよ。 それなのにまだ気遣うとか、コイツは本当に馬鹿だ。 自分は本当に幸せだ。 「大丈夫、斉木さんならもう大丈夫ですよ。だから」 一緒に気持ち良くなりましょう あくまでも二人一緒だと強調する鳥束に、腰の奥が熱くなった。 |
下になった鳥束の腹に白い熱を吐き出し、肩で息をつく。 目の前がちかちかしてよく見えない。 「ほら、出来た」 大丈夫だったでしょ 優しい声がして、頬に唇が押し付けられる。自分も我慢出来なくて、衝動的に鳥束の唇を塞ぐ。 肉食獣に襲い掛かられた時みたいに鳥束の肩が跳ねて、無性に嬉しくなった。 一瞬硬直してすぐに力の抜けた鳥束の舌を舐めて遊んでいると、尻の奥に奴の手が進むのがわかった。 表面を撫でられるだけで背筋が痺れてたまらなくなる。 焦らすなと腰を揺すると、ようやく指が一本入り込んできた。 中を触られるおぞましい快感に息が引き攣った。 早く入れたい、斉木さんの中に入りたい。 食べて、食べて。 奥まで×××――思いきり泣かせてやりたい――後ろからぶち込んで××――××も×××××も全部ぐちゃぐちゃにしてやりたい。 奴の脳内から垂れ流される卑猥な言葉の数々にまた吐き気がした。溺れそうになりながら、直接的な肉欲を貪る。 コイツはおかしいが、自分も同じくらい頭がおかしくなってる。 引きずられたわけではなく、本当にどうしようもないくらい鳥束に持っていかれてる。 いかれてる。 指が三本に増やされ、少しきつくて腰が抜けそうになる。痺れたように重くなったのがいくらか和らいでくると、鳥束の形が欲しくて欲しくてたまらなくなった。 早く、鳥束…早く 『寄こせ、早く』 入れやすいよう自分から腰をずらす。 「斉木さんのその顔……好きだな」 じれったくて後ろにばかり気を取られていた。間近の鳥束の声にはっとなり、反射的に仰け反った。 「だめ、逃げないで斉木さん。キスして」 ぎゅって抱きしめて、キスしたい。 甘ったるくねだる声にそれ以上逃げられず、待ちわびて目を潤ませている鳥束に顔を近付ける。 互いの吐息がかかるくらい近付いた時、後ろに熱いものがあてがわれた。 待ちかねた形に背骨が震えた。 「大丈夫……?」 『大丈夫だから、いちいち聞いてくるな』 なんでお前は…頭の中ぐちゃぐちゃになるほど汁まみれなのに、なんでこんな風にするんだよ。 鳥束の腕が背中に回され、しっかりと抱きしめられた。感じるところになんて触ってないのに、力強く抱きしめる腕にひどく胸が高鳴った。 唇が重なると同時に、いたわりながらゆっくりと腰が進められる。 「!…」 鳥束の口の中で短く叫び、僕は軽い絶頂に見舞われた。 |