Dominance&Submission
試食会
神取は這いつくばっていた僚の身体を抱き寄せて膝に乗せ、尻からはみ出す玩具を掴むと、捏ねるように動かし始めた。 「あぁっ……」 僚の口から、甘ったるい喘ぎが一つ零れる。熱い手のひらで首筋を撫でられるようだと、神取は思った。 もっと聞きたくて手を動かす。決してせっかちにはせず、内部の様子を探るように、丁寧に玩具で捏ね回す。 「あ、あぁ……たかひさ……あっ」 僚は目の前の身体にしがみ付くと、細い異物でじっくりかき回される悩ましい快感に腰をくねらせた。 「いっ……あぁ!」 腹側の方をぐりぐりと擦られるとどうにもたまらなくて、自分でも驚くほど高い声が出た。わずかにぞっとするようなおぞ気が背筋をくすぐり、どうにもたまらなくて声が出てしまう。恥ずかしさに拳を押し付けて封じようとするが、巧みに動く男の手によってすぐほどかれてしまい、何度も、恥ずかしい声を上げる。 「やだ、ぁ……」 じれったさに、僚はしがみついたまま首を振った。 「ここが気持ちいいんだね、もっとしてあげよう。上手に出来たご褒美だよ」 「あ、あ……そこ、うぅん」 胸に沁みるほど甘ったるい声と共に、きつく抱きしめられる。 可愛らしい反応に頬を緩め、神取は尚もじっくりと手を動かした。内側から性器を刺激するように抜き差しを繰り返し、その都度収縮する内部の蠢きを愉しむ。 何度かそうして僚を泣かせた後、性具のスイッチを入れる。 たちまち僚の身体がびくりとおののき、ますます笑いが込み上げる。 「いく時はちゃんと言いなさい」 「あぁっ…すごい、あ、あ、ああぁ……だめ、おかしくなる」 「いいよ……もっと感じでごらん」 「あっ……くぅ、う……たかひさ」 異物が激しく出入りする度、ぐちぐちといやらしい音が響き、絶え間ない刺激とあいまって僚は下腹からたらたらと涎を溢れさせた。 男のものをしゃぶっている時ずっと欲しかったはっきりとした快感に悶え、よがり、一気に上り詰める。 「いく……いくいく、いきます――!」 男の服のあちこちを掴み引っ張り、僚は低く呻きながら身を強張らせた。 垂れ流されるだらしない喘ぎと共に、僚の先端から押し出されるようにして白液が飛び散る。 抱いた腕の中で強張る身体をよりしっかり抱きしめ、神取は優しく頭を撫でた。 「いい子だね……」 びくびくと不規則に痙攣する様がたまらない。腕に胸に伝わってくる僚の興奮具合に神取は頬を緩め、最後にひと突き奥へとくれた。 「ぐぅっ……!」 拉げた悲鳴が弾ける。嬉しげに唇を歪めて、スイッチを切る。 僚は絶頂に振り切れた中で、呆然と震えた。少しして、思い出したように息を吸い込む。腰は抜けたように甘く、とろけて、込み上げてくる凄まじい快感に涙が一粒零れた。 僚はぐすぐすと鼻を鳴らしながら男を抱き、徐々に鎮まる身体からゆっくり力を抜いた。 性具を握った手に伝わってくる蠕動で弛緩したのを感じ取った神取は、密かに笑うと一気に異物を引き抜いた。 「うぅ――!」 僚の身体がびくびくっと跳ねる。芯にほんの僅か苦痛の混じった悲鳴に、神取は得も言われぬ愉悦を得る。がむしゃらに抱き縋る腕と苦鳴とに、達して鎮まった性器に再び熱がこもる。 神取は手にした性具をベッドの向こうに放ると、しがみ付く身体を支えて仰向けに寝かせ、覆いかぶさって口付けた。 「んっ……ん」 応えてくる僚の熱くぬめった舌に自分のそれを絡ませながら、指で後孔を探る。 あ、とおののいたような声をもらし、僚はびくりと身を震わせた。神取は構わずキスを続け、緩んだ孔を弄った。そして彼の肉を欲して勃起した己に手を添え、まだひくひくと痙攣を続ける後孔にも、自身の先端で接吻する。 「う、あ……ま……まって!」 押し付けると、わななきがよりはっきり感じ取れた。 こうして押し付けているだけで達してしまいそうなほど甘美で、うっとりするほどの快感――でも。 やはり、中を愉しみたい。 達したばかりで鋭敏になった孔をこじ開け、奥まで飲み込ませ、そこで欲望を解放したい。 神取は鼻先が触れるほどに顔を離し、そっと囁いた。 「もっと気持ち良くしてあげるよ」 「あ…たかひさ、まだ……あ――あぁあっ!」 うろたえる様をじっくり見つめながら、根元まで一気に埋め込む。 「いひぃ……!」 拉げた悲鳴、身体はしなやかに反り返り、きつく絞り込んでくる内襞に神取は深く酔い痴れた。 何より表情がたまらない。 きつく寄って力のこもった眉根と濡れた瞳も、わなわなと淡く震える唇の色も、まっすぐに射抜いてくる眼差しも何もかも、全てが愛しくてしようもない。 「あ、あ……きみは」 想像以上だと、神取は組み敷いた身体を抱きしめ、激しく腰を前後させた。 「もっと私を味わってくれるね 「ひぃ……いっあぁ……う、あ……きもちいい」 目も口も大きく開いて、僚は揺さぶられるまま恍惚に震えた。男の怒漲がごりごりと容赦なく内襞を抉ってくる。重苦しい痛みを与えてくるのに、そのすぐ先にどうしようもないほど悶えたくなる快感があって、どうしていいかわからなくなる。 わからないから男の身体にしがみ付く。シーツをもみくちゃに握りしめる。身体を反らせて、たわませて、大きく足を広げ男に突き出し、もっと欲しいと訴える。 苦しくて気持ちいいものをもっと寄越せと、喘いでよがって、僚は繋がった部分に意識を集中した。 ぐちぐちといやらしい音を立てて男の物が出入りしている。 勢いに煽られた自身のそれが、涎をまき散らしながら腹の上で無様に踊っているのに、僚は顔を歪ませた。 ああでも、気持ちよくてたまらない。 神取はそれらの表情の移り変わりを余さず目に焼き付ける。頬に口付け、舐って、吸って、夢中で貪った。 「たまらないね……この身体」 「あぁうっ…あぁ」 乳首を摘まむと、さらに反応が良くなる。 口から迸る甘い声がもっと聞きたくて、神取は小刻みに腰を打ち付けながら乳首に吸い付いた。ひ、とおののく声に喜悦が走る。背筋を駆け抜ける痺れるような心地よさに、神取はより執拗に左右の一点を交互に舐った。 僚は精一杯の抵抗に男の肩を掴み、押しやろうと力を込める。 「あぁだめ、乳首…しながらは……」 「駄目じゃない、こうして一緒に苛められるのが、僚は好きだね」 「あぁいや……やっ……ああぁ」 「私をこんなに締め付けて、本当にいや?」 「いやっ…ああぁいやじゃない…好き」 僚は何度も首を振りたくった。ぱさぱさと、少し癖のある黒髪が男の頬をくすぐる。 乱れた髪を丁寧にすいてやり、神取は訊いた。 「何が好き?」 「一緒にされる……されるの好き、あぁ! 奥、おくいい……すごくいいぃ!」 悲鳴交じりの喘ぎに神取はいやらしく目を細め、より激しく突き込んだ。 「そうだね、もっと奥まで入れてあげるよ」 「あぁだめっ…おく、おくは……もう、腰が抜けそう――!」 だらしないよがり声を溢れさせ、僚は喜悦の表情を浮かべた。 「いい顔だよ…好きだよ僚」 ますます昂る肉の疼きに素直に従い、神取はより激しく僚を貪った。繋がった個所から粘膜の擦れる音がして、卑猥な響きに双方昂る。 「ぐぅ――!」 不意に僚の身体がびくびくっと大きく跳ねた。 何かを耐えるような呻き声と共に大きく仰け反って、ぶるりと全身を痙攣させた。 一秒二秒続く硬直、それに伴う強烈な締め付けを何とか堪え、神取は僚の顎を掴んでじっくり顔を観察した。 「……いったね」 「あ……あぁ……」 僚は潤んだ目でぼんやり男を見上げ、ゆらゆらと頭を揺らした。眦に滲んでいた涙が零れる。 「やだ、もっと……したい」 これで終わってしまうのが悔しいと泣いているのだ。 胸に迫る。 きつく抱いて慰めてやりたい。 同時に、もっと泣かせて、苛めたくなる。 神取は一度しっかり腕に抱いてあやすと、引き抜き、這わせて後ろから抱いた。 「あああぁっ!」 もっと欲しいとねだった僚だが、遠慮なしにぐいぐいと突き上げてくる男の怒漲に高い悲鳴を上げる。 響きは拒絶のそれではなく甘えて縋るもので、煽られて男はより激しく僚を揺さぶった。 「やっ……あ、きもちいい……!」 「そうだね……締め付けがすごい」 「あぅ、そこ…そこいい……く、ぐぅ」 しまいに僚はいきっぱなしになり、絶えず肉襞はびくびく痙攣して、男を締め上げた。 「ああたまらない……君は、なんて……」 息を乱し、神取はひたすら貪った。 僚もまた、狭い孔をより狭めて男をしゃぶり啜った。注がれる白濁を身体の奥深くで飲み込み、次を欲して男を挑発する。 深く唇を重ね合わせて、互いの喘ぎを飲み込んで、二人は飽きる事無く肉の快感に溺れた。 |