Dominance&Submission

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 きつく圧迫してくる後孔から指を引き抜き、神取は己のものを僚のそこにあてがった。慌てた息遣いを聞きながら、やや強引に腰を進める。
 僚は壁についた手をきつく握りしめ、力強く拡げて分け入ってくる男の怒漲に潰れた呻きをもらした。指で柔らかくほぐされたが、達した直後の身体にはきつく、息を合わせるのが難しかった。

「ああ……とてもいいよ」

 男がうっとりと呟く。
 腰が抜けそうな鈍痛に苦しむ僚は、その言葉だけで身が軽くなるのを感じた。きつく寄せていた眉根からふっと力を抜き、腰を掴む男の手を握って喘ぐ。

「お…おれも」
「気持ちいい?」
「ん……うん」
「そう……僚は、苦しいのが好きだったね」
「すき、じゃ……」
「どうかな」

 神取は言うやいなや、ゆっくりだった動きを一転させ、根元まで一気に突き入れた。あ、と叫びが上がる。更に、休まず音がするほど激しく腰を打ち込んだ。

「それいや、いや……あぁ! あ、あっ、くるし…たかひさ、あぁっ!」

 何度も何度も叩き付けられ、僚は喉を晒して泣き叫んだ。しかし苦しいと訴える言葉は上辺だけ、苦痛を訴えるものではなく、甘く、妖しい響きを含んでいた。悦ぶそれだった。

「ほら、好きじゃないか」

 多少荒々しく抱いても応えてくれる僚に心の内で歓喜し、神取は尚も自身で激しく揺さぶった。前方で、涎を溢れさせた僚の性器が突き込みに合わせて揺れ踊る。
 腹に当たり、ぴしゃぴしゃと雫をまき散らす己のものを恥じて、僚は首を打ち振った。
 腰が抜けそうなほど激しい抜き差しに全身で悦び、髪を振り乱した。
 でも、と僚は顔を歪めた。でも、本当に苦しいのは好きではないのだ。
 好きなのは男、男のする事。自分を支配し愛してくれる男がする事だから、何でも受け入れられる。許してしまえる。自分を尊重している男だから、どんなに苦しくても、泣いてしまうものでも、喜びに感じるのだ。
 壁に縋っていてもがくがくと震える膝を何とか奮い立たせ、僚は後ろからの激しい責めに耐えた。その顔はうっとりと緩み、嬉しげであった。直後、眼差しがぎくりと強張る。
 男の指が、またも乳首を摘まむ。激しく動かしていた腰を弱め、神取はそっと壊れ物を扱うように小さな突起を指に挟んだ。

「あんっ!」

 自分の上げた声を恥じて、僚は慌てて口を噤んだ。
 息遣いでそれを読み取り、神取は楽しそうに笑った。

「やはりここを一緒に可愛がると、反応が違うね」

 一転して優しく内部を捏ね、神取は摘まんだ突起を優しく扱いた。

「あ、だめ……きもちいい、いいそこ……あぁん」
「私もいいよ、すごく」
「あうぅ…ほんと?」
「ああ……君は最高だね」
「や、あぁ……くうぅ! ち、ちくび、いいぃ……ああすき」

 うなじに這い上がるぞくぞくっとした快美感に僚は甘い響きをまき散らした。
 神取は一回ずつ深くまで穿ちながら、指先の突起をくにくにと可愛がった。

「やっ……いくいく……また、いく……いっちゃう」
「ああ…思い切り出してごらん」

 散々苛められた後の柔らかな二点責めに、僚はいくらもしないで達した。うう、と低い呻きをもらして強張る身体を、神取は尚もゆっくり抱いた。きつく収縮する内襞を己のもので余さず抉りながら、乳首を指先で舐め転がす。

「だめ、だめだめ……やだぁ!」

 乳首を弄る手を引きはがそうと、僚は身をよじった。しかし、達したばかりで過敏になった身体を続けて揺すられ、思うように力が入らない。いいように貪られ、ただ震えて首を振るしかなかった。

「いく、い、ああぁっ……い――!」

 切れ切れに喘ぎ、僚はぐうっと背を反らせて白液を噴いた。
 射精を促すようにきつく締め付けてくる内襞は燃えるように熱く、己を包み込んでくる。神取はいくらか息を乱し、僚の身体に腰を打ち付けた。

「だめ――ああぁ!」

 余韻を引きずり敏感になった泣きどころを容赦なく熱塊で刺激され、僚は吠えるように叫んだ。

「やだ、もうだめ、だめ……いやだ!」

 泣き叫び暴れる少年をしっかりと抱きしめて、神取は後ろと乳首を執拗に弄り続けた。甘い熱を孕んだ声でひっきりなしに喘がれ、抵抗に見せかけた挑発を仕掛けられては、止めようがない。嗚呼やはりこの場を真に支配するのは彼の方だ。どちらか一方の勝手ではなく、二人でこの場を作り上げているのだ。
 僚は細い悲鳴と共に、何度目になるか分からない絶頂に打ち震え、涙を零して激しく喘いだ。

「泣くほどいいのかい」

 すっかり汗ばみわななく身体を抱きしめ、神取は頬に触れた。零れた涙を指先で丁寧に拭ってやり、眦に口付けて吸う。触れてくる柔らかな皮膚と熱い粘膜のむず痒さに僚は胸を喘がせた。

「や、もぅ……ちくび、やだ……両方はだめ、だめ……あぁっ」
「違うだろう僚、もっと触ってくださいと言ってごらん」

 神取は口端を緩め、すっかり膨れた突起をさすった。度重なる絶頂に疲れ切っていた僚だが、最も弱い個所の一つである乳首を刺激すると、たちまち可愛らしい声を上げてびくびくと身をのたうたせた。同時に、男を頬張るそこが息づくように収縮する。
 意識の及ばないところでの動きに、僚自身うろたえる。そうしたいわけではないのに勝手に締め付けて、そのせいで男の圧倒的な存在をまた思い知らされる。片手で男に捕まり、片手で壁に縋って、がくがくと震える膝で必死に踏ん張る。
 神取は乳首を転がしながら、僚の頬に何度も接吻した。その合間に目を向け確かめると、彼の下部はまだ萎え切らず、半ば起ち上ってふらふらと揺れていた。

「まだ、できるだろう」

 そう言って、強く腰を打ち付ける。

「いや……あぁ!」

 僚はびくりと腰を引き攣らせた。再開された激しい抜き差しにいやだ、いやだと何度も首を振る。新たに涙が滲み、泣きじゃくるのと相まって息が苦しくなる。
 これ以上立位を保つのは無理と察した神取は、ぐすぐすと鼻を啜る僚を抱いたまま後ろから支えて床に這わせ、上から叩き付けるようにして腰を突き込んだ。

「いや、おく…奥だめ、くるしい……あぁっ」
「その苦しいのが、好きだね」
「違う……あぁ、あ、あ、あうぅ…いい、いい……」
「どこがいい?」
「あ、うぅ…おく、奥がいい…あぁ腰が……ぬけそう」

 甘えた声を出す僚に気を良くし、神取は単調な動きで散々に声を上げさせた後、しゃくるように動かして奥の方を先端で貪った。そうしながら背に覆いかぶさり、喉から胸元へと手を滑らせ、最後に性器をやんわりと手の中に包み込む。
 すっかり芯を取り戻し、跳ね返すほどに育った僚の雄に嬉しげに唇を歪め、神取は扱きながら腰を送った。

「だめ、あぁ、あ……たかひさ、だめぇ」
 僚は頭を抱えるようにしてうずくまり、休みなく与えられる恐ろしいまでの愉悦に上ずった嬌声を上げ続けた。

「も…許して……もういけない」

 いきたくないと涙交じりの声を聞き、神取は息も止まるほどの快感に包まれた。欲望の赴くまま手を振り上げ、むき出しの尻を打つ。

「……あっ!」

 僚の口から短い叫びが上がり、同時に咥えたそこが瞬間的にきつく締まった。
 ともすれば痛みすら与えてくる強烈なほどの収縮に、神取は胸を喘がせた。なんていい反応だと、叩いた尻をそっとさする。

「嘘はいけないよ、僚……その声も、君の身体も、まだまだ欲しがって締め付けてくる」

 再度手を構え、二度三度と繰り返し振り下ろす。
 その度に僚はびくびくと背骨を引き攣らせ、意図せぬ締め付けでもって男を愛撫した。

「や、やめて、ごめんなさい…だめ、だめ!」

 切羽詰まった悲鳴をうっとり聞きながら、神取は反射的に狭まる内道を抉じ開けるようにして腰を送った。僚の声はしっとりと濡れて、色気に満ちて、心を絶妙にくすぐる。少し高い響きがたまらない。どこまでも甘い気分に包まれる。まるで、蜂蜜をたっぷり落としたホットミルクのように、身も心もとろけさせる。

「ごめんなさ……もっ…ぶたないで」

 ひっひっとしゃくり上げ、僚は弱々しく綴った。神取はあえて無視して責め、更に涙を絞った。狭い器官の奥にある快感の核を、己の先端でごりごりと擦りたてる。

「!……」

 うずくまりしくしくと泣いていた僚は、たちまちびくりと腰を弾ませ、激しくよがりながら男の責めに応えた。

「やめっ…そこはだめ、だめ――!」
「いい反応だね……たまらない」

 前へ這って逃げようとする身体をがっちり掴んで引き止め、いい角度で内襞を抉った。
 ひっきりなしに溢れる嬌声はまるで歌のようで、神取はうっとりと聞き惚れた。
 傷付ける為でなく人を打つのは、嗚呼こんなにも甘美なものなのか。
 神取はうっすらと朱に染まった僚の尻に尚も平手をくれ、狭まるそこに怒漲を突き込み、欲望の赴くまま少年の身体を貪った。

「っ――!」

 僚は声もなく叫んできつく背を反らせ、先端から熱いものを解き放った。

「……ほら、できるじゃないか」

 神取は薄く笑い、達して強張る身体を無理やり開かせ揺さぶった。

「……ああぁ――!」

 真っ白に染まる絶頂の高みから降りられないまま続けられ、僚はぜいぜいと胸を喘がせた。これ以上はもう無理だと泣きじゃくる。
 その様に神取は強く射精欲をかきむしられ、己の絶頂めがけて突き進んだ。最後まで彼を気遣っていたかったが、自分の下で激しく乱れ、痴態を晒す様に煽られて、どうにも我慢出来なかった。
 哀れを誘う声音と、しっとり濡れた背中の艶めかしさ、包み込んでくる熱い内襞に、これ以上抑えておけない。
 神取は両手に腰を掴むと、一気に目指した。
 僚はされるがままに身を委ね、激しい突き込みに翻弄され叫びを上げ続けた。もう、意味のある言葉を発するのも難しかった。ただひたすら、喘ぎ、泣いて、首を振るだけ。
 腰が砕けそうなほど力強く抱かれ、溶けてしまうのではないかと意識が遠のきかけた時、一番奥に達した怒漲が熱いものを吐き出した。

「ひっ……!」

 最奥に押し付けられ、そこに白濁を注がれるのを感じ取り、僚は泣きながらぶるぶるとわなないた。気付けば自分も、先端からたらたらとだらしなく白液を垂れ流していた。

「ああ、あ、は……あぅ」

 視界を覆う真っ白な瞬間に喜び、僚は呆けたようにため息をもらした。
 神取はゆっくりと自身を引き抜き、一旦離れた。ぐったりと床に伏す僚を丁寧に抱き起し、膝に乗せて背中をさする。
 発作を起こしたように激しかった呼吸が、段々と鎮まっていく。
 落ち着いた息遣いに戻った頃、僚はのろのろと動いて男に抱き付いた。
 神取も抱き返し、耳元で呟く。

 まだ足りないよ、僚

 肌をかすめる吐息に、僚はぶるりと震えを放った。

 もっと、食べて

 呟き、うっすらと笑みを浮かべる。
 ひっそりとした空気の震えと共に抱きしめられ、神取は熱が戻ってくるのを感じ取った。
 再び辺りに、互いの息遣いと甘い声とが溢れていった。

 

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