Dominance&Submission
望むところだ
「どこに入れてほしい?」 「ここ……」 僚はもどかしそうに動いて自ら膝を抱えて開き、ここに入れてほしいと我慢出来ない身体を晒した。 「そこにほしい?」 男の視線がまっすぐ注がれる。 それだけで全身が強烈に疼き、触れてきた指先にさえ鋭敏になって、僚はびくびくと痙攣めいた震えを放った。 「もっ…指はやだ、いやだ!」 これ以上は焦らさないでくれと、僚は泣き声を上げた。眦に溜まっていた涙がとうとう溢れる。 「ああ、君は本当にいい顔をするね」 神取はうっとり微笑み、優しく涙を吸ってやった。触れてくる柔らかな唇はむず痒く、それにも感じて僚は喉の奥で低く鳴いた。肌はどこまでも鋭敏になり、男が近付く時、離れる時の空気の流れさえ悩ませた。足を抱えたままもじもじと身悶える。 神取は自身の足を抱えている僚の手に自分の手を重ねると、閉じられないようそこに留め、もう片方の手を動かした。 「や……!」 咄嗟に僚は力んで侵入を拒んだ。指先できゅっと窄まる感触に神取は楽しげに笑み、構わず揃えた二本の指を押し込んだ。 「あぅ、う……」 僚の口から苦しげな呻きがもれる。強引に抉じ開けたのだからそれも当然だろう。苦痛を味わわせたいわけではない神取は、押し出そうとする動きの中出来るだけゆっくり動かして進め、彼の内部に隠された一点を目指した。 「あ、あ、ああぁ……」 力むのはかえって自身を悩ませるだけとわかっているが、男の指が蠢く度微かなおぞけを伴う快感が腰の奥を走り、自分の意思に反して指を締め付けてしまう。反射的なそれに僚は湿った喘ぎをもらし、不自由な腰を揺すりたてた。 いくらか抵抗が弱まったのを感じ取った神取は、根元まで埋め込みねちねちといやらしく音を立ててほぐし始めた。 「あぁ……も、もうやだ」 僚は弱々しく首を振った。男の指がくねる度、腹の底がぞくりと疼いてたまらなくなる。たまらなく我慢出来なくなる。もっと一気に燃やしてしまいたいのに、寸前で炙られるつらさに息が苦しくなる。 「指ではもう、物足りない?」 面白そうに見下ろしてくる支配者の眼差しを、僚は涙が滲みはっきり見えない目を何度も瞬かせながら見つめ返し、二度三度頷いた。 「たかひさの……お願い」 「なら……私がいいと言うまでいくのを我慢出来たら、入れてあげよう」 言い終わると同時に神取は指先に一点を探り当て、最も感じるそれを少し強めに抉った。 たちまち僚の腰がびくりと跳ねる。 「!…」 声も出せず僚は仰け反り、男の長い指が転がすそこから生じる弾けてしまいそうなほどの快感にのたうった。 「やめ、や……いやだ!」 高く叫び、劣情に緩んだ顔で僚は身悶えた。悩ましく乱れる少年をうっとり見つめ、神取は尚も責め続けた。高い叫びが上がる度、きゅうきゅうと締め付けてくる。 僚は何度も声を振り絞り、仰け反って、腰の奥から込み上げてくる強烈な愉悦に激しくよがった。 「ほら、まだだよ」 神取は楽しげに声を投げかけた。言い付けを守り、必死に見つめてくる健気さにしようもなく胸が疼く。嗚呼、彼と遊ぶのはなんて――。腹の底で渦巻く欲望に神取は身震いを放った。彼を抱き、直接貪るのも快感だが、こうして遊ぶのはまた違った悦びを与える。 「も、だめ……いく…いく!」 切羽詰まった声が鋭く放たれる。 「まだだ、僚」 神取は少しだけ緩め、媚態に酔い痴れた。内側から嬲られて性器はたらたらと透明な涎を垂らし、その身を濡らしていた。神取は抑えていた足からそちらへ手を向け、緩く指を巻き付けた。後ろを動かす度びくびくわななくのを、手の中で感じてみたくなったのだ。しばしの間、震える様と僚の口から零れる絶え間ない嬌声を楽しむ。 「た……たかひさ」 僚はひっひっと喉を引き攣らせ、もう我慢出来ないと弱々しく訴えた。神取は性器を弄っていた手を再び足に戻し、泣きじゃくる少年を愛おしげに見つめた。 「……その顔がたまらない」 すっかりほぐれた後孔から静かに指を引き抜く。その動きすら今の僚には甘い快感を与え、震わせた。かすれたため息をもらし、僚は強張っていた四肢から力を抜いた。 「がまん……で、できた」 「ああ、僚はいい子だね」 もうこれ以上待てないと全身で訴えてくる彼に微笑み、ご褒美を用意する。 「入れてあげたら、どんな顔でどんな声を出すかな」 神取は自身を取り出し、緩く扱いて僚の後孔にあてがった。 「うぅっ……!」 ひと際大きく僚の身体がわななく。後ろはすでに迎え入れる準備が出来ているようだ。早く来てほしいというように男の先端を繰り返しの収縮で愛撫する。 「あ、あぁっ…入れて、奥まで……おねがい」 自分から迎えに行くように腰をうねらせ、僚は何度もしゃくり上げた。 神取はゆっくり開き、焦らし焦らし奥へ進めた。 「あ、ああ、あっ……!」 もどかしそうに喘ぐ僚を存分に楽しみながら、ゆっくりゆっくり根元まで埋め込む。ようやく全てが収まると、僚は恍惚とした表情で泣きじゃくった。震えが止まらぬ様子の彼に顔を寄せ、神取は唇を重ねた。するりと舌を滑り込ませると、僚は応えて自身のそれを絡めてきた。 しばしの間、ぴちゃぴちゃと舌先でお喋りする。やがて神取はそっと顔を離し、間近に僚の目を覗き込んだ。しっとり濡れた睫毛がわずかに震えている。眦に溜まった涙が、同じ跡をたどって零れた。 「泣くほどいいかい」 「ん…うん……きもちいい」 「私もいいよ……いい締め付けだ」 たまらないと低く囁く男の声に、僚はうっとりと頬を緩めた。抱えていた足から手を離し、男にしっかりしがみ付く。胸も腹も腰も押し付け、全身で喜ぶ。 柔らかくほぐれた僚の内部は複雑に蠢き、飲み込んだ男の竿を先端から根元から余さず愛撫した。絶妙な力で、呼吸するかのようにまとわりついてくる内襞の誘惑に酔い、神取は腰を動かし始めた。ゆっくり前後させるだけでたちまち腰が痺れ、全身に悦びが広がる。 「あ、あ、あっ…おく、いい…おくきもちいい」 待ち望んでいた刺激をようやく与えられ、男の下で僚は享楽の声を上げて身悶えた。とろけた顔、悩ましい声音が男をさらに昂らせる。 「たまらないね……もっと聞かせてくれるかい」 深く覆いかぶさり、腰を使って激しく突き込む。たちまち僚は高い甘い嬌声を迸らせ、男の与える強烈な快楽に悶えよがった。先ほどまでのもどかしい愛撫と違い、すさまじい勢いで絶頂が迫り、僚はあっという間に追い詰められた。激しさに身体が弾けそうになる。 急激に高みに持ち上げられ、僚はひどくうろたえた声を上げた。半ば無意識に手を突っ張り、男を押しやろうとする。 神取は抵抗をやすやすと振り払い、勢いを緩めず僚を責め立てた。繋がった部分はねちねちと淫猥な音を立て、内部は息づくようにうねって包み込んでくる。妖しい感覚に飲まれいっときもじっとしていられない。 「あ、あっ…もうだめ、も……もういく、いく――!」 内部の弱いところを執拗に狙って穿ってくる男の熱塊に僚は何度も叫びを上げ、髪を振り乱した。全力で駆けるような勢いに飲み込まれ、僚は目の前の白い閃きに喉を引き攣らせた。ぐうっと身体が持ち上げられる錯覚に見舞われる。大きく広げた内股が痙攣し、中心が鈍い痛みに包まれる。 神取は逃げがちになる腰をがっちり押さえ込み、音がするほど腰を突き込んだ。 「我慢せずいきなさい…さあ」 「あぁ……たかひさ!」 ひと際強く突き込まれた瞬間、僚は絶頂を迎えた。おこりのように身体を震わせながら、二度三度白いものを放つ。 「う、うっ……ぐうぅ!」 歯を食いしばり、達した快感に浸っている僚をしばし堪能し、神取は顔を寄せた。まだ口付けに応えられる状態にないのも構わず唇を重ねる。激しく乱れる息を何とか飲み込み、僚が舌を伸ばすと同時に、神取は腰の動きを再開させた。 「んんぅ!」 男の口の中で僚はうろたえた叫びを上げた。振りほどこうとするのを押さえ込んで神取はキスを続け、同時に強く腰を叩き付けた。 「いや……んむ……うぅ――!」 それでも尚僚は抵抗し身悶えた。 逃げようとする身体をベッドに押さえ込み、神取は達したばかりで敏感になった孔を抉った。強く絞り込んでくる誘惑に逆らえないのだ、自分が操られているようなものだと、小さく笑う。 「だめ、また……ああぁ!」 熱く硬いもので容赦なくこすられ、いくらもしないでまた僚は絶頂を迎えた。 ひっひっとしゃくり上げる僚から一旦抜き、神取はうつ伏せに這わせると、後ろから抱いた。 ひくつき、緩んだ孔を熱いもので一気に貫かれ、僚は大きく喉を反らせた。ひと息置いて叫びを放つ。 だめ、と喉から絞り出し、容赦なく腰をぶつけてくる男の手に縋る。しかししっかり胴を掴んだ手は引きはがせそうになかった。 髪の先まで揺れるほど激しく突き込まれ、僚は頭を抱えるようにしてベッドに伏しだらしない喘ぎを上げ続けた。弱い最奥を嫌というほど突かれ、いっときの休みも与えられず、続けざまに射精を強制される。高みから降りる事を許さない状況はひどく苦しくてつらいのに、それがいいのだ。必死に息を吸って、男の行為に嬌声を上げて、悶えて、絶頂を迎える。快くてたまらない。 こんな風に、全てを貪り尽くそうとする行為が、ぞっとするほど気持ちいい。 震えが止まらない。 「あああぁぁ――!」 上ずった声をもらし、僚はまた放った。びくびくと四肢を痙攣させていると、男のものが引き抜かれた。ずずっと去っていく少しおぞましい感触が、かえって気持ちいい。脳天まで痺れるようで這っている事も出来なくなり、僚はそのまま手足を崩してベッドに横たわった。 ぜいぜいと全身で息をつく。神取はその身体をそっと仰向けに寝かせた。 片足を胸に抱くようにして持ち上げ、再び入り込もうとする男に、僚はふわふわとした動きで首を振った。 「も……ゆるして」 「まだだよ、まだ出来るだろう……僚」 神取は言葉と共に己の熱茎を飲み込ませた。ああ、とかすれた声をもらす僚に唇を寄せる。 「ほら……出来た」 優しい声、優しいキスに身も心も震える。本当に、もう疲れ切ってこれ以上は出来ないと思っているのに、男の手で頭を撫でられ、キスされ、囁かれると、欲しくなってしまう。後ろに男のものを咥え込むと、またいきたくなってしまう。 どこまでも貪欲な自分が怖くもあり、それ以上に、男が欲しくてたまらなかった。 僚は夢中になって男の舌を吸い、唾液を絡めた。それだけでもう脳天が痺れてたまらず、僚は舌を舐められて達した。もう、何をされてもいってしまうほど、身体は極みにいた。 激し過ぎる官能と強烈なまでの快美感に飲み込まれ、だらしない嬌声と共に僚は何度も背を反らせた。 「さあ…もっといくんだ」 「だめ……」 「だめじゃない。僚はいい子だ……さあ、見せてごらん」 「だめぇ…たかひさ……ああぁ!」 いくらか薄まった精液を吐き出し、びくびくとわななく性器を手の中に包み込んで、神取は最後まで搾り取るようにゆるゆる扱いた。そうしながら、自身の絶頂めがけて腰を打ち込む。 高い叫びが僚の口から迸る。達して過敏になった性器を扱かれ、つらいのだ。構わず神取は追い詰め、自身も上り詰めた。 「あ…あうぅ!」 僚の全身がきつく引き攣る。内部までも痙攣し、飲み込んだ男を締め付けた。それを抉じ開けるようにして、神取は熱茎を最奥に突き込んだ。 度を越えた強烈な快感に僚は濁った叫びを上げ、背骨が折れそうなほどに仰け反った。直後、男が執拗に嬲っていた性器の先端から、おびただしい量の透明な液体が放たれた。 「ぐ、ぅ……」 背中に回された僚の手が、より一層強く抱きしめる。肌に食い込む爪めの痛みと、しゃぶるように締め付けてくる内襞の動きにとどめを刺され、神取は絶頂を迎えた。 「――!」 一番深いところに熱いものを浴びせられ、僚はかすれた悲鳴を上げて全身を強張らせた。数秒硬直して、ふっと脱力する。男の背中から滑り落ちそうになる腕に何とか力を入れ、抱きしめる。神取もまた、がむしゃらだった手で抱き直し、僚と同じように全身で息をついた。 二人分の荒々しい呼吸が部屋を満たす。 汗ばんだ肌をくっつけ、二人は長い事抱き合って絶頂の余韻に浸った。 |