Dominance&Submission

特別席

 

 

 

 

 

 ゆっくり湯船に浸かって汗を洗い流した湯上り、神取は眠る前の一杯を用意しにキッチンへと向かった。
 何がいいか聞かれた僚は、温かいものをリクエストし、ソファーに腰かけた。
 キッチンへ向かいながら、神取はその動きをじっと観察した。リラックスした様子でソファーに埋もれたところを見ると、今回も最後まで上手く力の加減が出来たようで、ほっと胸を撫で下ろす。
 ぐっすり眠れるように、少し甘めに調整した紅茶を用意し、神取は戻った。彼に手渡し、隣に座る。
 ありがとうとカップを受け取り、ひと口啜った僚は、いつもながら好みを完璧に把握している男ににこにこと頬を緩めた。
 そうやって喜んでくれるから、作る甲斐もあると、神取は微笑む。そして、まだかすかに上気している頬を撫でた。

「まだ赤いか?」
「いいや、可愛い、良い顔色だよ」

 なんといっても触り心地が良いと、神取はするする手を動かした。

「あんまり触ると減るからな、気を付けろ」
「おや、ならばますます触らねば」

 わざと低い声で脅してくる僚に大げさにびっくりした顔になり、神取はぺたぺたと触る動きに変えた。
 もう、こら、と叱る声に済まないと詫び、尚も触る。

「ああもう、鷹久は意地悪だな」

 笑いながら、僚は隣の肩に寄りかかった。
 心地良い重みに頬を緩め、ここも特別席だと神取は軽く目を閉じた。

 

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