もっとちょうだい |
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ただいまと帰ってきた蘭の声は、いつもより幾分うきうきと弾んで聞こえた。彼女はいつでも陽気で明るいが、今日はそれよりも数段明るく高く、学校で良い事があったと知らせるに足る晴れ晴れとした顔をしていた。 二階の事務所でいつものようにだらしなく椅子にもたれテレビを見ていた小五郎が、何かあったのかと尋ねるが、蘭は別にと笑って答えない。 ソファに座り、漫画雑誌をぱらぱらめくっていたコナンが、何か良い事あったのかと尋ねるが、やはり蘭は笑うばかりで答えない。 その癖、一つ行動を起こす度に頬を持ち上げてにっこりする。いや、にんまり笑う。 |
夕飯の最中に小五郎あてに電話が鳴った。いつもの麻雀仲間からの誘いだとおっかなびっくり参加を申し出た時も、いつもならば雷寸前の大荒れになるところが、今日に限ってはにこにこと送り出す。 かえって恐ろしいと、小五郎は戦々恐々と出かけていった。 コナンは、夕食後の片付けを手伝いながらもう一度理由を尋ねてみた。この時も何でもないと蘭ははぐらかしたが、後ひと押し、本当は本人も言いたそうにしているのを見て取ったコナンは、彼女の入浴後部屋に突撃した。 「ねえ、どんな良い事があったの」 三度目も何でもないと言おうとした蘭だが、まっすぐ見つめてくるコナンの眼差しには勝てず、しばし迷った後傍に膝をつくと、ようやく口を開いた。 「コナン君には大した事ないと思うんだけどね……あのね、この前教えもらった苦手な数学の問題、今日当てられたの」 「出来たんだ!」 抑えても滲み出る蘭の嬉しげな笑みから読み取り、コナンは弾んだ声を上げた。 「うん、ちゃんと解けたの。分かったの」 「すごい、やるじゃん蘭姉ちゃん!」 「ありがと……」 自分のことのように喜んでくれるコナンの言葉に、蘭は少し驚きながらも礼を言った。 出来て当然と思われるのではないかと、少し心配になっていたのだ。こんなに手放しで褒めてもらえるなんて、驚いてしまう。けれどそうだ、彼は時々意地悪をするけれど、心根はまっすぐな優しい人。 なんて事を思い込んでいたのだろう。 恥ずかしい。 そして嬉しい。 「コナン君の――!」 コナン君の教え方が良かった…言い終わる前に、強く抱きしめられる。 突然の事に蘭は目を瞬かせた。 |
「役に立てて良かった」 |
反応に戸惑っていると、あどけない子供のそれとは違う声で、コナンが呟いた。 途端にずきんと胸が疼く。思いがけず零れた新一の本音に目の奥が少し熱くなった。 「……ありがとね」 抱き返し、蘭は言った。いつだって助けになってる、傍にいてくれるだけで充分、一緒にいる事が…そんな言葉を添えたかったが、上手く伝えられそうになくて、蘭は抱きしめる腕に全てを託した。 そうする方が、息もとろけるほどの安心感があった。 身体一杯に相手を感じて、満ち足りて、言葉以上になる。 コナンもまた同じだった。抱きしめた瞬間しまったと照れくささを感じたが、身体一杯に相手を感じられるこの距離でなければ、真実は伝えられない。相手の鼓動が聞こえる自分の鼓動が聞かせられるこの位置でこそ云える言葉。 ……ふふ ややあって、蘭の唇から少しくすぐったそうな笑い声が零れた。 ゆったり呼吸するのに似た空気が何だか嬉しくて、ついもれてしまったものだ。 コナンにはそれが、自分を笑ったものに聞こえた。恥ずかしさに咄嗟に身を離し、むすっとした顔で蘭を睨む。 そこにあったのは、何も隠さずまっすぐ自分を見つめる優しいすみれの色。 「……また今度分からないところがあったら、教えてね」 頼りにしていると、蘭ははにかみながら言った。 「うん……」 コナンは頷くが、蘭の声はほとんど聞こえてなかった。何かの頼まれ事だとは判別できたが、てんで耳に入っちゃいなかった。 意識はほとんど、彼女の唇に向いてしまっていた。 よく笑いよく怒り、尖ったりぎゅっと結んだり。何より、笑った時の形が一番好きだ。 ちょうど今のような。 だから目が離せず、引き寄せられてしまう。 「っ……!」 半ばぶつかるように向かってきた口付けに蘭はあっと息を飲んだ。 声を出す前に塞がれる。 少しびっくりしたが、自分を抱きしめる腕がより一層力強くなるのに、痛いくらいの嬉しさを感じた。負けじとぴったり身体をくっつける。 そうしてからはたと気付く。 これではまるで、乳房を押し付け誘っているようではないか。 どうしよう…恥ずかしさに肩が竦む。かといって今更身を引くのは余計意識しているようでそれも恥ずかしい。 戸惑う蘭を見透かして、コナンは舌でぺろりと上唇をめくるように舐めた。そしてほんの少し顔を離し、囁く。 「蘭姉ちゃんのエッチ」 くすくすと笑い交じりに言われ、蘭の頬が瞬く間に赤く染まる。 「えと、別にあの……私別にそんな、あ……」 忙しなく左右に瞳を揺らし、蘭は言い淀んだ。 その唇をコナンは再び塞いだ。 もう少し慌てふためく様を見ていたい気持ちもあったが、触れたい欲求の方が勝っていた。 蘭はそっと口を開きコナンの舌を受け入れた。 「あ、ん…ふ……」 小さな舌がぬるりと咥内に入り込み、ねぶってくる。応えて蘭もくすぐり返した。自然と笑みが零れた。 「ん、んん……んぅ……ふ、ふ……」 コナンの手が肩を軽く押してきた。 蘭は傍に手をつくと、それを支えにゆっくり仰向けに横たわった。コナンもそれを追って、跨る形で彼女に覆いかぶさる。抱きしめていた腕をほどき、頬を押さえ込むように両手ではさむ。 まだ、キスは続けていた。 お互い、離れたくないと思いが合致していた。 舌の縁を舐められるのが気持ちいい。 唇に相手の吐息がかかるのが気持ちいい。 唇の内側に吸い付いて引っ張るのが楽しい。 めくるように唇を舐めて笑い合うのが楽しい。 何もせず唇をくっつけ合っているだけで嬉しい。 ようやく顔を離した時には、お互い少し息が上がっていた。 この先の展開に期待してか、蘭の双眸はうっすらと潤み熱っぽくコナンを見つめていた。 そんな風に見られてはたまらない。 コナンは瞬きさえ惜しいとじっと蘭に視線を注ぎ、頬に触れていた手をそっと首筋まですべらせた。 「んっ……」 蘭もまた、瞬きも忘れて愛しい男をまっすぐ見つめていた。コナンを見据え、その奥にいる新一を見つめる。それだけで泣きそうになるのはどうしてだろう。気持ちがいくつも重なりあって、鼓動が激しくなるのは何故だろう。 「蘭姉ちゃん、すごくドキドキしてるね」 コナンの手付きはいつの間にか、脈拍を確かめる形で喉元に当てられていた。 「だって……生きてるもん」 自分でも変な答えだと思うと、蘭は小さく苦笑いをもらした。 その顔が一瞬強張る。 コナンの手が、着ていたブラウスのボタンにかかったのだ。上から順に淀みなく外していく手の動きを、蘭は目の端に映しコナンを見上げた。 小さく笑っている。 「それだけ?」 「……だけじゃないよ」 蘭の語尾がほんの僅か震えた。最後の一つが外され、ふわりと開かれる。下着を身に付けただけの身が露わにされる。 素っ気ない無地のスポーツブラに収まった丸い膨らみがその谷間が、コナンの目を釘付けにする。 実際無いけれども、甘い匂いがするようで、コナンは引き付ける力に抗わず顔を寄せた。 「あ……コナンくん」 「……なあに?」 一度ちゅうっと接吻してから、コナンは顔を上げた。 蘭はうかがうように見つめてくるばかりで、口を開く事はなかった。 コナンは膨らみに手を当て、布越しに撫でさすりながらもう一度訪ねた。 やはり返事はない。 ただ名前を呼んだだけでないのは、今にも何か言いたそうに口ごもる様子から分かった。 「なあに蘭姉ちゃん、教えて」 「うん、あの……」 「蘭ねえちゃん」 「……あのね、今日出来たのが嬉しいから…全部もらってほしいなって……」 「お礼代わり?」 「……うん」 「蘭姉ちゃんのエッチ」 コナンはふふと声に出して笑った。 「ごめん……!」 恥ずかしさに身を竦め、蘭は即座に謝った。なんてはしたない事を言い出したのだろうと硬く目をつむる。 と、額に熱い唇が触れた。ゆっくり髪を撫でられる。 「じゃあ、全部もらってあげる」 コナンは言ってもう一度口付け、蘭の目が開くのを待った。 やがておずおずと目蓋が持ち上がる。 「!…」 思いがけず間近にある支配者の蒼に慌てて目を伏せ、蘭はそれからゆっくり見つめ返した。 「エッチな蘭姉ちゃんの、全部もらってあげる」 「……うん、もらって――あ!」 言い終わらぬ内に、小さな手が力強く乳房を掴んだ。裾を絞るように掴まれるが、厚い生地が和らげ、痛みはない。代わりにじわっと興奮が湧く。 コナンは続けざま二度三度、今度は柔らかく揉みしだいた。 「んっ……」 熱く湿った一音が蘭の唇から零れ、コナンの脳天をカッと焦がした。むしり取ってやりたい衝動をぐっと飲み込み、静かにブラを押し上げる。 少し窮屈そうに収まっていた二つの丸い膨らみが、とうとう目の前に現れる。 まださして刺激を与えてないにもかかわらず、乳房の頂点は目覚めかけてぷくんと盛り上がっていた。 楽しみは先か、後か。しばし逡巡し、コナンは片方の乳輪の際に軽く吸い付いた。 「あ、ん……」 ぬめる唇で敏感な肌を小さく挟まれ、途端にじわっと広がる淡い痺れに蘭はわなないた。 コナンはもう一方の乳房を片手に捕えると、ゆるゆると揺すりながら五指をすべらせ、瑞々しい張りを確かめるように時折揉み込んだ。 「あぁ…コナンくん……」 うっとり酔った声で蘭が呟く。 時折ぶるりと肢体が震え、合わせて乳房がぷるんと揺れた。その頂点はすっかり硬く尖って、触ってもらえるのを今か今かと待っていた。 全部、早く…少しじれったそうに蘭は身じろいだ。 それでもコナンの手はわざと一番感じる突起を避けて動き続けた。 不満を寄せた眉根に表し、蘭はほんのわずか胸を反らせた。自分から愛撫の手を望むのはひどく抵抗がいったが、こうして肌を合わせる度教え込まれた快感には抗えない。 早くあの刺激が欲しくて、蘭は恥を忍んで胸を震わせた。 もじもじと身動ぎ、愛撫に遠慮がちに声をもらす蘭の様子からそうと読み取ったコナンは、口端を軽く持ち上げた。 「早く触ってほしいんだね」 声をかけると、蘭の目がおずおずと動いて見上げてきた。 「ここに触ってほしんでしょ」 言って、コナンは乳輪の外側を指先でくるりとなぞった。 「うっ……べつに」 ぞくっと首筋に這う疼きに震えながら、蘭はそっぽを向いた。 頬が赤くなっているのは、恥ずかしさからか。 それとも期待か。 「そう? こんなに硬くなってるのに」 コナンは二本の指でそっと摘まんだ。 途端に強烈な愉悦が身を駆け巡る。 「あっ!」 高く鳴いて、蘭は四肢を強張らせた。 「……いい声だね」 ぷるんとした感触が楽しいと、コナンは何度も指先で乳首を弾いた。 「や、や…あは…あ、あぅ……あん!」 根元から先端へと扱き、軽く押し潰す。手を離せばまたぴょこんと起ち上がる様は何とも可愛らしく、コナンは虜になる。 「や…やぁん…そ、そこ……あ、ん…んん!」 「蘭姉ちゃん、本当に気持ちよさそう」 弄くるほどに敏感に反応する蘭の声がもっと聞きたいと、しつこいほどの愛撫を乳房に与えながら、コナンは右と左と交互に何度も乳首を吸った。 「あぅう…だめぇ、あぁ!…やん……気持ちい……コナンくん」 ああ気持ちいい ちゅうっと吸い付かれる度に蘭はびくんと身を弾ませ、甘えた声で気持ちいいと繰り返した。 「お、おねがい……だめぇ、も…吸っちゃだめ……あっ、やぁん……」 脳天がびりびりと痺れ、ひどく息苦しい。 甘ったれた声を出してしまうのが恥ずかしい。 蘭はほっそりした肩に手を当てると、押しやるように力を込めた。 本気で押しのけたいなら造作もない事だが、力は関係ない。本当には力は入らない。 コナンもその加減が分かっているから、肩に添えられた手を無視して、愛撫を続ける。 「やぁ…あ、あんっ……コナンくん……」 縋る声で名を呼ばれる。 何て声で呼ぶのかと、コナンは思わず身動ぎ引き攣る喉で息を吸った。腰が熱く疼いてたまらない。 嗚呼、この女どうしてくれよう 堪え切れず、口に含んだ乳首にきつく歯を立てる。 「いたっ……あぁ!」 蘭の口から短い悲鳴が上がった。 濡れた声音に一瞬胸が痛むが、それ以上にぞくぞくするほどの興奮が募った。 「……もっとぉ」 かすれた声で遠慮がちに、蘭はもっと欲しいとねだった。 「ああだめ……でも、ああ…もっとしてぇ……」 思わず口走ってしまったのが恥ずかしいと即座に打ち消すも、我慢しきれず蘭は欲した。 お願い…熱っぽい懇願が続く。 愛らしい形の唇からは、絶えず熱い吐息が零れていた。 愛しい女にねだられて、どうして断れるだろう。 コナンは小さくうめくと、詫びに一旦優しく舐めてから、唾液に濡れた乳首をきつく指に挟んだ。もう一方を強く押し潰し、そのままぐりぐりといびる。 毒々しい痛みはすぐに強烈な快感に取って代わり、蘭の全身を甘く蝕んだ。 「いたいっ! ああ、こんな…ごめん……でも――!」 いく…短く告げ、蘭は大きく身を震わせた。ぐっと息を詰め、絶頂の激しさにうめく。 やや置いて脱力し、胸を上下させて喘ぐ蘭を前に、コナンは呆然と見惚れていた。 痛いと涙交じりに訴えながら絶頂を迎える姿は妖美さに満ちて、コナンの中心を食む熱を一層滾らせた。 気付けば再びコナンは柔らかな乳房を揉み始めていた。 「あん……」 蘭は小さく喘ぐと、緩慢に身悶えた。先ほどとは一転して優しく触れてくる手は、一度達した事で敏感になった肌を強烈に覆ってくる。下腹にまで響くびりびりと痺れるような愉悦がたまらず、蘭はもじもじと膝を擦り合わせた。気のせいでなく、熱いのだ。脚の奥が腹の底が、じわじわと熱せられているようでたまらない。 蘭はためらいがちに、スカートのホックに手をかけた。 コナンの目がすぐに動きに気付きそこに向かう。 「っ……!」 気付かれ、蘭は一瞬動きを止めるが、全部あげると言ったのだ。それにもう欲求は激しく燃え盛って、止めようがない。 コナンは小さく笑うだけで何も言わず、乳房に唇を寄せた。内側にちゅうっと吸い付き、辺りを甘食む。 「あぅ……」 むず痒いような切ないような疼きに蘭はため息をついた。吸われるとつい震えてしまう身体に何度か手を止めながらファスナーをおろす。 小さく音を立てる愛撫は徐々に腹部へと移り、別の意味で恥ずかしいへその横にたどり着いた。 「だめ……」 思わず蘭は手で覆い隠した。 「しないから」 コナンはそこに自分の手を重ねて静かに退かせ、周りにそって口付けた。 「だめ…くすぐったい」 笑いながら怒って蘭は再びさっと手を当てた。 「じゃあもっとくすぐっちゃお」 「だめー」 指先でへその横をつつくコナンと一緒に声を合わせ、蘭は笑った。 「腰上げて」 「……うん」 スカートを脱がすコナンの手に合わせて蘭は動き、足から抜かれるショーツを恥ずかしそうに見送った。 下着で隠されていた部分がすっかり露わになる。 全裸に近い恰好、いっそ全裸の方が恥ずかしくないかもしれない…ブラウスを脱ぎかけた姿が急にはしたなく思え、蘭は忙しなく視線をさまよわせた。 「……蘭姉ちゃん」 知ってか知らずか、コナンは始まりの合図を告げた。 蘭はかたく目をつむるとぎこちなく自分の足を抱え、何度もためらいながら開いた。動くと、下腹がすでにぬるついている事に気付く。 「み、み……見て下さい」 始まりの言葉を口にすると同時に、腹の奥にずきんと甘い痛みが走った。 コナンは正面に膝立ちになると、目眩を誘う妖しげな蘭の下部に視線を注いだ。 ぽってりと腫れた花弁は淡く開いて、たっぷりの蜜でねっとり光っている。今度こそ、濃い女の匂いがした。 「蘭姉ちゃんのここ、もう――」 「ごめん!」 コナンが言い終わらぬ内に叫ぶ。 「謝らなくていいよ。全部もらってあげるから」 「あ、んっ……!」 言葉の後すぐに刺激はやってきた。ぬるりとした感触が花芽を包み込む。 「ああぁ!」 熱い粘膜に包まれ、その強い愉悦に蘭は思わず腰を跳ねさせた。 一番の急所、最も感じるところ。コナンはそこを優しく吸い上げると、舌先でちろちろと刺激を送った。 「あぁ、そこ! ああ、あ…や、あ、あぁ……」 注ぎ込まれる熱い愛撫に身悶え、蘭は濡れた声を続けざま零した。 どこをどんな風に触れば感じるか知り尽くしている男の舌が、痛いほど腫れぼったくふくれた花弁をねっとり舐め上げる。 「あああ…あん…う、あは……」 蘭は抱えた腿にぐっと指を食い込ませてしがみ付き、絶え間なく襲い来る怖いくらいの快感に喉を震わせた。 「ああぅ…そこ、あ…ん……そこはぁ……!」 「ここが気持ちいい?」 コナンは顔を離すと、今度は指先でそっと転がした。 「あぁっ! う、うん……あ、あぅ……きもちい……あぁっ!」 膣口を撫でるように揉んだだけで、溢れた蜜でたちまち五指がねっとりと濡れそぼる。 「どんどん溢れてきてる。気持ちいいんだね」 「言っちゃダメぇ……」 拗ねた声を上げ、蘭は緩慢に首を振った。 甘ったるい響きがたまらないと、コナンはしゃくり上げるように息を吸った。 「ウソじゃないもん」 指を一本、ぬるりと内部に埋め込んだ。 「あっ……!」 入り込んでくる異物に蘭が小さく喘ぐ。 「中までぬるぬるになってるよ」 「やだぁっ……」 少し怒った声音で蘭は腰を揺すった。 その仕草がたまらないとコナンは薄く笑い、指を二本に増やしてぬちゅっぬぷっと抽送を繰り返した。 「あ、あ……くう、う…あぅ!」 思わず浮いてしまう腰をくねらせながら、蘭は待ちかねた愛撫に喘ぎを迸らせた。ゆっくり内襞を擦られるのがたまらなく気持ちいい。音が恥ずかしいのに、興奮してしまう。 「あ、あぁ…あ……音させちゃいや…だめぇ」 心にもない事を言いながら、蘭はいやいやと首を振りたくった。 「また、ウソばっかり……」 コナンがクスクスと笑う声を耳にして、蘭は首筋まで真っ赤に染めた。 わざと反対の事を言っているのは、すでに見透かされていた。 「だって…ああ……ん、んん」 堪え切れず足から手を離し、顔を隠す。下腹で続くぬちゅぐちゅと響く音に蘭はわずかながら眉根を寄せた。 「でも…あ……はずかし…もん」 「それも気持ちいいんでしょ」 顔を隠したまま、蘭は素直に頷いた。 それにあわせて、コナンの指を食む女の内壁がきゅうきゅうと絡み付く。 感じている証拠をいくつも受け取り、息も出来なくなる。 「素直な蘭姉ちゃん……もっと気持ちよくしてあげる」 低く言ってコナンは、下腹に顔を近付けた。 「ひぅっ……!」 奥をかき回されながら花芽を咥えられ、蘭は二か所から襲う強烈な快感に悲鳴を上げた。 身体が一気に絶頂へと押し上げられる。 「だめ…しちゃだめ! そんなにしたら……い、あああ!」 ひっひっと切れ切れにしゃくり上げ、逃げるように腰をくねらせる。 「ああダメぇ……きちゃう……いっちゃうよぉ……!」 泣き濡れた声で訴える蘭を更に極まりへと押しやろうと、コナンは一度ずつ重苦しい突き上げを与え、指先と舌とで柔芽をねぶり尽くした。 「あうぅ…う、だめぇ! そこ…そこ気持ちい……ああいく――いくぅ!」 ぐぐっと腰を持ち上げ、蘭は詰めた声でうめいた。 降り注ぐ女の喘ぎに溺れそうになりながら、コナンは最後の最後まで快感を搾り取ろうと、執拗に深奥を抉り抜いた。 「ひう……あぁ」 しばし硬直の後がっくりと力を抜き、蘭は床に四肢を投げ出した。 気付かぬ内に同調していたコナンもまた、肩から力を抜いた。 絶頂の後にふさわしく、内奥に埋め込んだ指がきゅうっときつく締め付けられる。時折ひく、ひくと不規則に痙攣している様も感じ取れた。 搾り取ろうとするかのような動きはコナンに甘美な愉悦を与えた。二本の指をきつく咥えて離さない蘭の熱い内奥にうっとり酔い痴れる。 もっとしたくなる。 何度でも味わいたい。 コナンはゆっくり指を引き抜くと、まだ強張りの残る膣内の締め付けを楽しみながら押し込み、また引いて、指先で内襞を抉りながら抽送を再開させた。 「あっ…だめ! すぐはだめ――だめぇ!」 絶頂の余韻に浸る間もなく再開された動きに目を見開き、蘭は身をくねらせて泣いた。 「ダメじゃないクセに。蘭姉ちゃん、こうやって無理やり何度もいかされるの好きでしょ」 ぬちゅぬちゅと軽い抜き差しの後根元までぐっと押し入れ、コナンは膣上部をしつこく押し抉った。ゆっくりと左右にひねり、後孔に響くよう強くくじり、彼女の弱いところを余さず責める。 狙い通り、蘭はどの動きにも敏感に反応し、今にも涙を零しそうに悩ましく顔を歪め甘い喘ぎをしとどにもらした。 「あぁ、それは……それはコナンくんが……あ、やあ…コナンくんが、そうしたのにぃ……あっ、あ……やぁ」 眦に少し涙を溜め、蘭は息も切れ切れに抗議した。休みなく襲い来る愉悦の嵐に翻弄され、あっという間に絶頂へと押し上げられる。 ぐうっと込み上げてくる、少しおぞ気のする絶頂が目の前に迫った時。 「じゃあもうやめたい? 今日はもう終わりにする?」 コナンは言って、呆気なく指を抜き去った。 突然途切れた耐えきれないほどの刺激にほっとすると同時に、明確な物足りなさが腹の底に溜まり、蘭は眼を眇めた。 しばし言い淀んだ後、口を開く。 「……う…ずるい……コナン君ずるいよ…う、うん……」 「だって、ダメなんでしょ」 「い……コナンくんのいじわる」 「ダメって言うのにする方がいじわるでしょ」 「それは……」 蘭は目に一杯の涙を浮かべ、恨めしそうにコナンを見やった。 今にも零れ落ちそうな涙は憐れを誘うが、同時にもっと苛めてやりたい、部屋中に彼女の声を満たしたい嗜虐的な気持ちも生じた。 「蘭姉ちゃん……足開いて」 やや置いて蘭は頷き、再び足を抱えて開く格好になった。 「見て――くさだい」 教え込まれた言葉を半ば無意識に口にする。 短いひと言に蘭は羞恥の目眩に襲われ、コナンは興奮の目眩に襲われる。 しっとり汗ばんだ腿を抱える蘭の手が、時折小刻みに震える。 震えているのはそこだけではなかった。 下腹に口を開いた媚肉もまた、甘いよだれをたらりと垂らして、呼吸するかのようにひくひくっと不規則にわなないていた。 普段の慎ましさはすっかり消え失せ、甘い匂いと蜜とで誘っている。ぽっちりと立ちあがった花芽が早くと急かすように小刻みにわなないていた。 コナンは、小さく震える蘭の手に自分の手をあてがうと、更に大きく開かせようとぐいっと押しやった。 「あっ……!」 一瞬抵抗し、蘭はすぐに力を抜いた。目をよそに向け、何度も瞬く。恥ずかしい。興奮する。もっと見てほしい。恥ずかしい。もっと見て。 しまいに蘭は、自分からぎりぎりまで一杯に足を開いた。 「どうしてほしい?」 支配者の穏やかな声が聞こえた。 「ぜんぶ……奥まで全部、触って。コナン君おねがい…ダメって言ってもやめないで…全部あげる!」 半ば悲鳴交じりに蘭は縋った。 「……全部触ってあげる。でももし、どうしても我慢出来なかったら、その時はストップって言って。頑張ってやめるから」 「……すぐやめてくれないの?」 頑張ってやめるというひと言が少しおかしくて、蘭は首を曲げて笑った。 「気持ちいいのは蘭姉ちゃんだけじゃないもん……仕方ねぇだろ」 思いがけず紛れ込んだ新一に双方目を見開く。 コナンは一瞬気まずそうに目を逸らすと、すぐに戻し、強気な顔で笑った。 まっすぐ注がれる愛しい男の熱い眼差しに蘭の息がいっとき止まる。 「ぜんぶあげるから……は、はやくもらってよ」 はやる気持ちに舌がもつれる。蘭は何とか絞り出すと、ただ熱心にコナンを見つめた。 嗚呼また…そんな顔をする 腰から這い上がってくるものに突き動かされるまま、コナンは下腹に顔を寄せた。 「く、う……はぁうっ!」 ほんの少しの吐息がかかっただけで、蘭はびくっと身を跳ねさせた。直後ねっとりと大きく舐められ、我慢しきれず高い悲鳴を上げる。 ほんのひと舐めしただけで達したかのような反応を見せる蘭に満足げに笑んで、コナンはじっくりと責め始めた。 「あ、あつ…ああ…こ……コナンくんの……熱いよぉ」 蜜を舐め取るコナンの舌がしようもなく熱いと、蘭は繰り返しぼんやりと呟いた。 コナンは両の親指で花弁を割り開き、ぬらぬらと光る蜜を残さず舐め取ろうと舌を動かした。 「ああ、奥……開いちゃだめ……いや、見ちゃだめぇ……」 恥ずかしい個所を露わにされ、覗かれている羞恥に蘭は緩慢に首を振り立てた。 その癖、自ら足を開いてもっとと見せつけてくる。 溺れ始めた蘭の痴態を更に欲して、コナンは媚肉を口に含みわざと下品な音を立てて吸った。 「あぁ…だめぇ……やだそんなぁ……やぁ!」 鼓膜を犯す卑猥な音さえも興奮材料になる、蘭は身を揺すり立て途切れ途切れに喘いだ。敏感な粘膜に吸い付くぬめった唇の感触がたまらない。たまらなく気持ちいい。 「あぅ…あはぁ……いいの…もっとして…もっとあげる……ああぁ!」 膣内にぬっともぐり込む舌先に高く鳴いて、蘭は四肢を強張らせた。ほんのわずかな侵入も堪えられないと、意識して下腹に力を込める。 きゅうっと絡み付いてくる粘膜の動きを存分に味わいながら、コナンは舌先を蠢かせ蘭の膣内を犯した。 「う、くぅ……あっ、それいい……気持ちいい…あ!」 ぞくぞくっと迫り上がってくる切ないような疼きに大きく震え、蘭は繰り返し身悶えた。 「もう――も…きちゃう……いっちゃう…いきそう……ああ! ああ!」 蘭は何度も声を張り上げた。そうでもしないと、体内で際限なく膨れ上がる快感にどうにかなってしまいそうだった。 「だめ、いっちゃう……いく、ああ…コナンくん…ああ、し――ん…あああぁ!」 愛しい男の名を呼び掛けた瞬間、絶頂が襲ってくる。蘭はぐっと顎を持ち上げ、ありったけの声を迸らせた。同時に内部から熱い滴を放ち、間近のコナンの唇を濡らす。気付く余裕はなかった。 「あ……はぁ…あっ……」 やや置いてがっくり四肢を投げ出し、蘭は脱力した。 コナンは顔を上げると、達したばかりの艶めかしい女の姿をぼんやりと見つめた。苦しそうに上下する胸、横に崩れた両足は時折びくんと痙攣し、すっかり力を失った手はぴくりとも動かない。 コナンはそっと指を抜くと、いたわるようにすぐ間近にある彼女の膝にそっと接吻した。 「あん……」 瞬間的な刺激に応え、蘭は淡い喘ぎをもらした。 たったそれだけで、コナンはまた自身が滾るのを感じた。まだ満足していないのを感じた。 彼女の愛くるしい声が、もっと聞きたい。 すぐに二度目の接吻をする。 今度は腿の内側にちゅっと口付け、もう一度声を出させる。 「やん…くすぐった……あ……」 自分の口から零れた声に赤面し、蘭は忙しなく目を瞬いた。散々迷い、コナンに向ける。 |
「……もっとちょうだい」 |
足を抱え、口付けながら見つめるコナンと目が合う。 眼鏡越しの鮮烈な青が胸に強く迫る。 「あ…コナンく……」 じわっと滲む涙越しに見つめ、蘭は頷いた。ちんまりとした口付けが徐々に身体の中心に向かうのを、熱っぽく見つめる。 蘭はゆっくり足を開き迎え入れた。 焦らす事無く触れる指先が、何度も膣口をなぞる。上から下に撫でられる度、蘭は甘く鳴いて応え、愛しい男の名を口にした。 「んあぁ……!」 三本の指がゆっくり入り込んでくる。少しきついのがたまらなく心地良かった。 始めはゆるやかだった抽送は次第に激しさを増し、 ぐじゅっぬぷっと卑猥な音を立て深奥を抉った。 「く、う…あぅ…んんっ…あ! あぁ!」 突き込みが最奥に達する度蘭は高い声を上げ、引き攣る喉で叫んだ。 もっと欲しい、もっと声を…乱れる様をもっと貪ろうと、コナンは食い込ませた三本の指で深いところを存分にかき回しながら、下腹に顔を寄せた。ぷっくり腫れ上がり震える花芽を、舌先でちょんとつつく。 「ひぃうっ!」 たったそれだけで達しそうになる、蘭は大きく仰け反り息を詰めた。 コナンは快感にわななく花芽にねっとり舌を絡め、縦横に転がし潰して、刺激を与え続けた。 「や…やぁ! しちゃだめ……両方は…ああだめ! んん、あぁっ…あ、あ…きもちい……すごいの……あぁ!」 二か所から同時に注ぎ込まれる耐えきれないほどの愉悦に悶え狂い、蘭はしとどに喘ぎながら髪を振り乱した。 「そこも…中も…あ、あぁ…気持ちい……きもちいいの……いい!」 そんな声を聞かされては、もう止めようがなかった。コナンは舌と唇とで花芽を貪り、もっと声が欲しいと最奥を責め抜いた。 「あぅ…あ、ああ! いやっ…だめ…だめ、だめぇ! 両方だめ……そ、んな……ああ、いく! い…いく…あ、う…くるし……ああきもちいい……や、やぁん……また…またいっちゃうの! あぁ…し…しんいち……」 激しく乱れ狂った最後に、ひどく遠慮がちに名を呼んでくる蘭がしようもなく愛しい。 今は呼んではいけない名を、それでも口にしたくて、押し殺すように密かに縋る女がたまらなく…愛しい。 「……いるよ」 そう応えるのが精一杯だった。 ひっそりと耳に届いたひと言にうっすら目を潤ませ、蘭は真っ白な絶頂へと飛び込んだ。 「ああぁ――!」 ぐっと息を詰め、針の振り切れる瞬間に酔い痴れる。抱きしめる代わりに、内部に咥え込んだ愛しい男を離すまいときつく締め付け、蘭は途切れ途切れに息を吐いた。 抱きしめる蘭の腕の中でコナンもまた、擬似的な絶頂の余韻に心地良く酔い痴れていた。 |
蘭は自室の机に向かい、予習に励んでいた。隣には、コナンの姿があった。 時刻は間もなく十時になるところだ。 「……そう、それからこの部分をこっちにもってくる」 「うん」 自信を持って蘭は頷き、また一つ問題を解いた。 「すごいね蘭姉ちゃん、もう分からないところないんじゃない」 「コナン君のお陰よ」 誇らしげに笑う蘭を眩しく見つめた後、コナンはふっと口端を緩めた。 「……ホントは、お礼目当てだったりして」 「!…」 途端に蘭の顔がぎくりと強張る。 冗談半分で言った事だが、まさかこうも簡単にぼろを出すとは、だから自分はこの女が。 「あー、蘭姉ちゃんやーらしー」 「コ……コナン君ほどじゃないもん!」 耳たぶまで真っ赤に染めて反論にもならない反論を蘭がする。 慌てふためき、しどろもどろで言い淀む彼女に心の中で大笑いし、顔は大真面目に繕って、コナンは言った。 「はいはい、お喋りしないで勉強して下さい」 まだ何か言いたげな蘭を遮り、少し意地悪くノートをトントンと指で示す。 「うう……はぁい」 蘭は渋々といった様子で姿勢を正した。この『勉強会』は自分が無理を言って頼み込んだ物で、逆らうなんてとんでもないのだ。何せ約束を一つ破っているも同然なのだから。とはいえ…悔しい気持ちを飲み込んでノートに向かう。 と、頬にちゅっと口付けを受ける。 「!……」 大いにうろたえ、蘭は横を見やった。 驚く蘭ににっこり笑いかけ、コナンは言った。 「次も頑張れるように。おまじない」 蘭はむず痒そうに笑むと、ゆっくり頷いた。 「抜きにしても、コナン君に恥ずかしくないように、次も頑張るわ」 「うん、蘭姉ちゃんなら出来るよ」 「満点とれたらいいな」 「とれるよ。ボクが教えてるんだから」 「まあ、おごっちゃって」 「えへへ」 いたずらっ子の笑みを見せるコナンに合わせて、蘭もふふと笑った。 |