イケナイことしたいの

 

 

 

 

 

「うーん…良い気持ち」

 少しとろけた風の声が、前に座る蘭の口から零れた。後ろに座り、彼女の髪をとかしていたコナンは、ふと笑ってもう一度同じく、頭のてっぺんから髪の先までするすると櫛をすべらせた。

「よかったね」
「うん、ありがとうコナン君。自分だと、後ろはまっすぐとかせないから、本当に良い気持ち」

 甘い甘い声を嬉しく聞きながら、コナンはとかした髪にそっと手をすべらせてみた。
 素直でまっすぐな彼女の髪は艶やかで気持ち良く、
みどりの黒髪という言葉そのものの色と輝きとはつらつさを兼ね備えていた。

「ボクも良い気持ち」

 撫でていて、ついそんな言葉が出る。

「蘭姉ちゃんの髪、本当にすっごく綺麗で気持ちいいね」

 すると蘭はぎくしゃくと、恥ずかしそうに竦みながらコナンを振り返った。

「……ありがと」

 はにかむ貌が小憎らしいほど愛くるしい。
 コナンは湧きあがる感情のまま顔を寄せ、唇に軽く触れた。
 蘭も応え、キスの後またふふと笑んだ。
 それから不意に顔を逸らし、一拍間を置いた後、ベッドへと移動する。
 コナンも後に続く。
 二人とも風呂上がり。交代で背中を洗い、髪を洗い、そして今しがた蘭の部屋で交代で髪を乾かし、準備は整った。
 時間も丁度いい。夜で、それほど遅くもなく、また今は二人きり。
 明日の午後まで、小五郎に留守番を任されそれまでここには二人きり。
 だから今夜は、遠慮なしで行こうとどちらからともなく言い出して、了解して、三個目の浣腸薬を使い準備した。
 今日も長風呂をと思ったが、さすがに季節が許さなかった。ゆったり浸かるだけでものぼせてしまいそうで、二人はキスを一つ交わしたところで納得し、早々に洗い流して風呂を出た。
 まだほんのりと湯気の立ち上る火照った身体が二つ、女のベッドの上で向かい合う。
 先に動いたのはコナンだった。

「!…」

 蘭の身体が小さく跳ねる。
 パジャマの襟もとにのばされた両手が、一つ、また一つとボタンを外していくのを、蘭は少し潤んだ目で見つめていた。
 最後の一つが外され、何も身につけていない素肌が彼の目に晒される。
 いつもはそこにスポーツブラがあるが、後でまたシャワーを浴びるだろうからと省略していた。
 ボタンを外してすぐ目に飛び込んだ彼女の白く丸い乳房は、風呂上がりという事もあってかほんのり桜色に染まって見えた。
 コナンは小さく息を飲み、誘われるまま肌に唇を寄せた。

「っ……」

 蘭も同じく息を飲む、すぐ訪れる彼の口付け、その予感だけで、全身がぞくりとざわめいた。
 が、予感は外れた。
 ほんの数センチのところで一旦顔を止めると、コナンは、すんすんと鼻を鳴らして匂いをかぎはじめた。

「ちょ…やだ、なに……変な匂いする?」

 予想外の行動に蘭は慌てふためき、コナンの肩を掴んだ。身体はしっかり洗ったつもりだ。今日は少し汗ばむ程の陽気だったから、いつもより念入りに。
 しかしこうして、汗の溜まりやすい胸の谷間に鼻を寄せてかがれると、心配になってしまう。
 コナンは払拭するように、すぐさま首を振った。

「ううんしないよ、違うよ。蘭姉ちゃん、お風呂上がりの良い匂いがする」

 あどけない声が小憎らしい。
 ホッとすると同時に、ちょっとした腹立ちが起こる。

「やだ、なんか……コナン君やらしい」
 スケベオヤジみたい

 だからわざとそんな口を利き、蘭は眼下の少年をじっとり見つめた。

「えー、だって蘭姉ちゃん、ホントに良い匂いなんだもん」

 心外な、そんなつもりはない、コナンは甘えた声で言った。
 そう返され、たちまち腹立ちが消える。悪い気はしない…すると蘭に、コナンの髪から立ち上るほんのり甘い匂いが届けられた。

「コナン君だって」

 顎を乗せられるほどの位置にあるコナンの頭を優しく抱き、撫でながら、蘭も同じくすんすんと鼻を鳴らした。

「コナン君の髪もサラサラで気持ちいい」

 柔らかく、また少年らしい艶やかな黒髪を気持ちよさそうに撫で、蘭はくすくすと笑った。
 するとコナンは恥ずかしそうに顔をしかめた。
 それがおかしくて、蘭はもう少しそんな顔をさせてやろうと、隙をついてコナンのパジャマを捲し上げ、現れた白い腹に抱きついた。

「コナン君のお腹も良い匂い」
「ちょ、蘭、ねえちゃ……!」

 嬉しそうにはしゃぐ声に押され、コナンはベッドに倒れ込んだ。

「同じの使ってるから、匂いもお揃いね」

 そんな些細な事も嬉しいと笑う顔が、女がたまらなく愛しくて、コナンはもがくようにして抱き返すと、ゆっくり顔を寄せた。

「……ふふ」

 キスの合間に蘭が笑う。
 コナンも笑い、また口付ける。
 軽く音を立ててちゅっと吸い、二度、三度。

「は、あ……んぅ、んっ、コナンく……」
「ら、ん…ね……」

 繰り返すほどに激しさは増し、乱れる息を吐きながら互いの舌に吸い付く。

「んっ!……あぁ」

 時々加減を誤って噛み付いてしまうが、それでも双方接吻を止めず飽きもせず、舌を絡め吐息を絡め、与えられる唾液も飲み込んで熱い粘膜を貪り合った。
 ようやく唇を離した時、どちらも同じく息が上がって、それすら何となくおかしかった。
 コナンは微笑のまま蘭の頬に接吻した。
 大好きと伝わってくる優しい感触が、蘭の顔を甘くとろけさせる。
 コナンはそれをもっと見たいと、鼻先やおでこ、目蓋、また頬に愛情を込めて口付けた。

「ふふ、くすぐったい…嬉しい」

 蘭はそっと囁いた。
 仰向けになり、まっすぐ見上げてくる嬉しげなスミレ色をまっすぐ見つめ返し、コナンは喉元に顔を寄せた。ちゅっと音を立てて吸い付き、後から指先で撫でる。

「ん、んん……」

 二つの感触に蘭は小さくわなないた。
 今度は耳の付け根に二つが繰り返される。
 次は鎖骨に。
 次は胸元に。
 徐々に移ってゆく愛撫がどこへ向かっているのか…蘭は期待を込めて「あぁ…」と喘いだ。
 少しじれったくもあったが、今に開放してくれる手を待ちわびるこの瞬間も、たまらない快感だとうっとり浸る。
 ゆっくりと移るコナンの唇が、ついに乳房にかかる。

「う……ん!」

 じいんと沁みる疼きは瞬く間に全身に広がり、蘭はたまらずに身をくねらせた。駆け抜けたものは最後に胸の頂点に集まり、見なくとも分かるほどの変化を感じ取り蘭は頬を染めた。

「あ、あぁ…ん…ん、ん」

 声が止まらなくなる。
 小さな手が、左右の乳房を等しく揉みはじめた。
 今までのじれったい愛撫から一転、はっきりとした刺激が休みなく襲う。

「あ、はっ…ん」

 裾から絞るように強く、柔らかさを確かめるように優しく、両手は巧みに動き続けた。まだ直接触れられていないにも関わらず、周りからの刺激だけで乳首はすっかりかたく尖り存在を主張していた。
 それに伴い、じんじんとした待ちきれない疼きが溜まってゆき、蘭は恥ずかしさに目を閉じた。
 そこに、コナンの声が聞こえてくる。

「蘭姉ちゃんの……柔らかくて気持ちいい」
「……気持ちいい?」
「うん、すっごく気持ちいい」

 どこかうっとりしたコナンの声に腹の奥がじわっと熱くなる。
 とろりと濃い物が奥の方から湧き出し、その感触に蘭はおののいたように身を震わせた。
 もっと言って
 もっともっと欲しがって
 蘭は目を開けぎくしゃくと見やった。

「わ、わたしも…気持ちい……ああ、コナン君きもちいい……」

 それから胸を慰める手に目を向け、蘭は何度も瞬いた。
 優しくさすられ、揉まれている。
 それもとても気持ちいい…けれど。
 くっと喉を鳴らし、わななく唇で懇願する。

「お、お願いコナンく……もっとして……もっとひどく…して」

 少し驚いた顔になってコナンは見下ろした。

「ひどくしてほしいの?」

 手に余る膨らみをたぷたぷと揺すりながら聞き返す。

「……うん」

 羞恥に頬を染め、蘭は上目遣いにおずおずとコナンを見つめ返した。
 コナンは数秒目を見合わせた後、乳房に移し、わざとあどけない声を発した。

「でもここも急所だよ。痛くしたら可哀想」

 言って、そっと乳首を摘まむ。

「やんっ!」

 途端に蘭の口から高い悲鳴が上がる。
 痛みを訴えるものではなく、甘えるような、むず痒い嬌声。

「ほらぁ、優しくした方が、気持ちいいでしょ」

 コナンはすっかりかたくなったそれをくりくりと転がし、根元から先端へと何度も扱いた。

「あっ…ん…ん……んふ、あん、あぁ、あはぁ……」

 親指の腹でくにゅくにゅ撫で回すと、たまらないとばかりに蘭の身体がくねり、愛くるしい唇からは熱い喘ぎが休みなく零れた。

「ねえ…蘭姉ちゃん」

 くすくすと笑い交じりにコナンは言った。
 薄く目を閉じ、どこか困ったような顔で快感に浸る眼下の女を、自分の愛撫に敏感に反応する肢体をあまさず見つめ、同じ快感を味わう。

「あ、あっ…ん…ああ、あ……やぁん…おねが…い、一回…一回だけでいいから…おねがい」
 ひどくして

 いやいやとゆるく首を振りねだる様が、コナンの嗜虐心をかきむしる。

「おねがい……あぅっ!」

 再度蘭が哀願すると同時にきつく乳首をつねり、コナンは口端を歪めた。

「……一回だけで満足なんて、出来ないくせに」

 またぎゅっと指に力を込め、ふっとゆるめ、つねり、そのまま引っ張る。
 急所を責められる度蘭はびく、びくと四肢を突っ張らせ、悲痛な声を零した。

「いた、痛い! ああ、痛いよお……コナンくん……いたいっ!」

 こんな時でなければ絶対聞きたくない女の泣き声、ひどく堪えるそれも、今は聞くごとに興奮を募らせる麻薬のようでもあった。
 声は痛いと泣き濡れているのに、その表情はぞっとするほどの色気に包まれていた。
 どこかうっとりと悦びを浮かべ蘭は痛いと繰り返した。
 コナンはともすれば本当に痛め付けてしまいそうな自分を慌てて制し、蘭の様子を注意深く見守った。つい引き込まれそうになる声と表情とを一段冷静になって眺める。

「あ、あぅっ……い、た……いたい…あぁん」

 痛いと言わず、我慢する様子が見られたらすぐに止めると決めて、尚も乳首をいじめにかかる。
 それは頭で思うより難しいものだった。痛いと訴えながら気持ちよさそうにされると、ならばもっと痛みを与えようかとついのめり込んでしまう。強く押し潰してぐりぐりといびったところではたと気を取り直し、詫びを込めて優しく口付ける。

「あっ…それ、いい……」

 痛みの後にやってきたゆるやかな愛撫に甘い声をもらし、蘭は緩慢に身悶えた。
 散々嬲られじんじんと痛む乳首を粘膜で優しく包まれ、その熱さと柔らかさ、緊張の後の弛緩に身も心もとろけそうになる。

「あ、ふ…きもちいい……あぐぅ!」

 浸っていると、不意にかたい歯で挟まれ、そのままぎりりときつく締め付けられる。
 奥歯を噛みしめて堪えた瞬間、身体の芯にびりびりっと走るものがあった。
 突如襲った強烈な快感に喉が震える。

「あぁあ、あっ!」

 蘭は眉根を寄せ、ぐうっと仰け反った。
 一秒、二秒…蘭は不意に力を抜き、ベッドに身を任せた。

「もしかして……痛いのにいっちゃったの?」

 胸を上下させ浅く呼吸する蘭を見つめ、コナンは静かに声をかけた。

「あ、う……」

 蘭は何度も目を瞬きながらコナンを見やった。すぐに目を逸らし、しばし置いた後恥ずかしそうに頷く。

「そっか。痛いのにいっちゃったんだ」

 少し驚いたようなコナンの物言いがたまらなく恥かしくて、蘭は慌てて手で顔を覆った。

「……ごめん」
「痛いのにいっちゃうなんて、蘭姉ちゃんはホントに」
「ごめんなさい……!」

 喉から振り絞るように蘭は叫んだ。

「ダメ……許さない」

 静かに発せられた低音を耳にし、蘭は慌てて手を退けコナンへと目を向けた。
 コナンはまっすぐ見下ろした。
 恐ろしげに震えながら、蘭が目を合わせる。

「あ、あの……」

 ついに見捨てられてしまうのかと、蘭の口から怯えが零れる。
 それが全て落ちる前に、コナンは身を屈めて口付けた。
 それから、すっかり縮こまってしまった蘭を包むように一回抱きしめ、髪を撫でる。

「許さないから……しよう。たくさんしよう……いいでしょ、蘭姉ちゃん」

 いたずらっ子の顔で笑うコナンを見た途端、蘭は目の奥にじわっと涙が滲むのを感じた。

「き……嫌いにならない?」
「ならないってば」
 何度聞いても同じだよ

 神妙な顔がおかしくて、コナンはつい答える端々で笑ってしまう。
 それがどちらにも取れると見えたのか、蘭は上目遣いに疑う眼差しをじっと向けた。

「ならないよ、絶対ならない。痛いのも気持ちいいのもどっちも好きなんて、蘭姉ちゃん、色んな事一杯楽しめるね」

 恥じ入るように蘭は目を逸らせた。

「だからしよう…蘭姉ちゃん、たくさんしよう」
「……うん。しよう、コナン君……たくさんしたい」
「じゃあ蘭姉ちゃんからキスして」

 蘭は小さく頷くと、起き上がろうか一瞬迷い、コナンの頭を抱き寄せてする方を選んだ。
 誘導する手に従って近付き、コナンはくすくすと笑みを零した。
 蘭も同じく楽しげに笑い、ちゅっと唇の先でコナンのそれに触れる。
 軽い口付けだけでは物足りないと、二人はまた唇を寄せた。唇の裏まで舐め、吸い付き、食べる勢いで互いの口内をあまさず味わう。
 満足いったと笑んでコナンは身体を離し、口を開いた。

「いつも思うんだけどね」
「……なによ」
「蘭姉ちゃんのキスって、ホントエッチだね」
「……そんな事ないもん」

 そっぽを向いて、蘭はぼそりと零した。しかしその声はどこか自信無さげだ。

「ふーん…じゃあ他のエッチなとこ見ようっと」

 言ってコナンは女の下衣に手をかけた。
 はじまりの合図に蘭は息をひと飲みし、脱がしにかかる手を黙って見つめていた。
 少し腰を浮かせて助けると、下着ごとズボンが脱がされ、全裸に近い姿になる。

「見せてくれる?」

 いいよねと含んだ少年の声にそっぽを向いたまま頷き、蘭はおずおずと自分の足を抱える姿勢になった。

「み、見てよ……見て、ください」

 声を変えて言い直すとまた腹の底がずくんと熱くなり、新たに溢れるものの感触があった。

「ああ……」

 淡く喘ぎ、蘭は喉を晒すように仰け反った。
 コナンは女の足の間に身体を置き、ゆっくり見渡した。
 足を開いた事で下腹のそこははっきりと姿を現し、何度目にしても見る度目眩を起こす誘惑を秘めていた。
 普段は慎ましく閉じているだろうそこは、一度達した後にふさわしくうっすらと口を開き淡く色づいた媚肉をのぞかせ、ねっとり濡れて、微かに女の匂いを立ち昇らせていた。
 コナンは両手を伸ばすと、外側の花弁に親指を添えゆっくり割り開いた。そして誘われるまま素直に顔を寄せ、舌先でねろりとくすぐる。

「ひゃんっ!」

 瞬間、蘭の身体がびくんと跳ねた。
 来ると予感していても、熱い舌の感触に声を出さずにいられない。とはいえ、素っ頓狂な声を上げてしまったのがどうにも恥ずかしくて、蘭は右に左に忙しく目を動かし一人そわそわとしていた。

「びっくりさせてごめんね」
「ううん、あの…ううん、平気。平気だから……して」

 最後は消え入りそうな声で告げ、蘭はすぐに顔を背けた。
 落ち着きがないのは今の声が恥ずかしかったのだろうと推測し、コナンはそっと笑うと、再度顔を寄せた。
 溢れ出る蜜をちゅ、ちゅ、と唇で食み、舌全体を使って大きく舐め上げる。

「あぁ、あ…あふ……んっ」

 愛撫に敏感に反応し、蘭はしとどに声をもらした。唇と舌の熱いぬめった感触がたまらなく気持ちいい。首筋にぞくぞくと這う疼きに身を震わせながら、蘭は甘い声で鳴いた。
 指先でくにゅくにゅと膣口を撫でられたかと思うと、またさっきと同じく親指で大きく広げられ、奥まで覗かれている錯覚に蘭は思わず声を上げた。

「や……広げないで……見ちゃダメ!」

 切れ切れの悲鳴を耳にし、コナンは一旦身体を起こした。

「でも蘭姉ちゃん、さっき、見て下さいって言ったでしょ」
「でも…うん、あの……」

 蘭はぎくしゃくと首を曲げコナンを見やった。

「蘭姉ちゃんのその顔大好き」
「っ……」
「蘭姉ちゃんが恥ずかしそうにしてるの見るの、好きだよ。大好き。恥ずかしいのに、気持ちよさそうにしてる顔も声も……全部好きだよ。だからもっと見せて。もっと聞かせて。ね、お願い…蘭姉ちゃん」
「わたしも好き……ああ、コナン君…全部……全部あげる」

 蘭は小さく頷いた。
 それを見届け、コナンはまた口淫に戻った。

「あ、ああぁ…ん、はぁ…あぁ……」

 ぽってりと腫れた花弁を撫でるように優しく舐めると、たちまち甘える女の声が後から溢れ、鼻先が触れるほど近い媚肉からはねっとり絡む甘い女の匂いが次々溢れ、コナンをもっともっとと誘った。
 目の前には、恥ずかしそうにしながらも花芽が顔をのぞかせていた。早くきてほしいと言いたげに朱に染まり震えて、刺激の訪れを今か今かと待ちわびている。
 ひどくそそる、美味そうな色をしていた。
 誘われるまま近付くと、吐息が触れたのか、蘭の身体がぴくんと強張り、あわせて花芽もひくひくっとわなないた。
 コナンは指先から手のひらまで使って膣全体を揉むように刺激しながら、唇でそっと花芽をはさんだ。

「あ……そこっ!」

 最も敏感な個所に触れられ、一際大きく蘭の身体が弾む。
 コナンは歯を当てないよう気を付けながら、唇と舌でもって丁寧に柔芽を舐め転がした。

「あ、あん…や……ああ、そこ…きもちい……あふ、う…んん!」

 足を抱えたまま、蘭はもぞもぞと腰を揺り動かした。
 そんな風に動いてしまうのがたまらなく恥ずかしかったが、注ぎ込まれる強烈な刺激にじっとしていられない。堪えても我慢しても、コナンの舌がくにゅっと花芽を転がす度声が零れ息が乱れ、腰が震えてしまう。
 その、まだどこか恥じらいの残る女にそっと笑って、コナンは顔を上げた。
 迫力がある…といってはいささか失礼だが、仰向けになって尚丸みを保つ白い乳房の向こうに見える蘭の様子をうかがいながら、コナンは上から下へくちゅぬちゅと膣口を撫で続けた。

「ん、んん、あ…あふ……」

 花芽に受けた刺激のせいで、そこはまるで粗相したかのようにぐっしょり濡れそぼり、手のひら全体をねっとり熱くさせていた。

「あ、あは…や……コナン君……あの、あ……」
「なあに、蘭姉ちゃん」
「あの……中も…さわって…ほしいの」

 今にも泣きそうに顔を歪めて、蘭は縋った。いつものように、中の深いところまで、強い刺激がほしい。早くほしい。
 もう我慢出来ない。

「中までほしいの?」
「うん…中まで……あぁ、奥まで…お願い」
 さわって

 言って蘭は、抱えた足に指を食い込ませ更に開いた。
 恥を忍んでそうまでねだってくる女に淡く笑み、コナンは指先をあてがいひと息に埋め込んだ。

「そこはダメっ!」

 待ちわびていた膣内ではなく後孔にもぐり込んできた指に叫び、蘭は首を振った。
 それでいてぎゅっと締め付け、逃すまいとする。
 思わず言ってしまったひと言なのは充分承知の上で、コナンはがっかりした声をもらした。

「……まだダメ? 好きになるまでしてあげたと思ったけど…でも、ダメならしょうがないね。抜いてあげる」
「……だめ!」

 蘭がまた叫ぶ。
 コナンはにやりと口端をゆるめた。

「どっちなの、蘭姉ちゃん」

 笑いながら、指を軽く前後に揺する。しかし強い締め付けにあう指は少々の力では簡単に抜けない。
 それは他でもない蘭がしている事。
 抜かないでと縋る自分に喉元まで真っ赤にして恥じ入り、蘭は恐ろしげにコナンを見つめた。

「どっち?」
「すき……」
「なあに、聞こえない」
「お尻……好き、だから……して」
「してもいい? こんな風に」

 コナンは中でくっと指を折り曲げ、柔らかく擦り付ける。

「あ、あぁ…うん、していい。お願い、して…あぁん……あ、あ、あ……もっと」

 もっと強くてもいいと、蘭はじれったそうに腰をくねらせた。
 そんな女の様子に陶然と笑みを浮かべ、コナンは一旦指を抜き後孔の襞をなぞるようにじっくり嬲った。

「あ、あふ…あぅ……あ!……あ…あぁっ!……ん!」

 指先がぐっと当てられる度、蘭は鋭い悲鳴を上げて悶えた。
 ほぐれた頃合いを見計らい、コナンは指を二本揃えて埋め込んだ。

「んんんっ!……あぁ……」

 ゆっくり入り込んでくる異物に息を詰め、蘭は動きが止まるのをじっと待った。どうしても、この、入れられる瞬間はおぞ気が拭えない。けれど根元まで埋まってしまえば消えると分かっているので、ここだけ耐えればいい。一度目だけ我慢すれば、後は、何度弄られてもおぞましさは感じはしないのだ。後は底なしの快感に取って代わる。

「きつい?」

 こらえる表情に気付きコナンが声をかける。
 違うと蘭は首を振り、素直に告げた。

「最初だけ…少し……変なの。でもすぐ……」
「気持ち良くなる?」

 真っ赤な顔で蘭が頷く。
 羞恥と快感がないまぜになった表情が、コナンの背骨を妖しく撫でる。

「お風呂上がりだからかな。蘭姉ちゃんのお尻の中…すっごく熱くなってる」
「や…バカ! そんな事……あん、んん」
「熱くて、ねっとりしてる」
「やだ……てばぁ……」

 勢いよく言い返した蘭の声は、徐々に弱まっていった。それに伴い瞳がとろんと潤み、内部に押し込まれた異物からもたらされるおぞ気が失せた事を、コナンに教えた。
 腹の底に感じる甘い疼きにわずかに息を乱れさせ、コナンは手を動かし始めた。
 おかしな抵抗がないか確かめながらゆっくり指先まで引き抜き、ゆっくり埋め込み、また引き抜き、徐々に動きをはやめていく。

「あ、あ、いい…あん…ああ、あ、そこ……ああ……」

 ぐ、ぐ、と突き込まれる動きに合わせ、控えめな、それでいて熱い吐息が女の唇から絶え間なく零れた。

「お尻、弄られるの好き?」 
「う、く……好き……あぁっ! 好き…すき……ごめん」
「何がゴメン?」
「お、お尻弄られるの…好きだから……わ、わたし…あん……あ、あうぅ……へ、変態……やぁ、ん……」

 埋め込んだ指を右へ左へひねりながらコナンが言う。

「そう? ボクね、蘭姉ちゃんのお尻弄るの好きな変態なんだ。変態同士仲良くしよう」

 傍からすれば呆れ返る馬鹿らしい言葉を交わし、二人は見合わせて笑った。

「中までしっかり洗ったから、何も心配しないでいっぱい感じて」
「……うん。いっぱいしよう…コナン君…しよう」
「うん、いっぱいたくさんしてあげる」

 言ってコナンは、手のひらを上向きにして埋め、指先でくすぐるように内壁を探った。

「あ、あぁ……あぅ……んんん! あ、コナン君…ね、コナンく……」
「なあに?」

 弄る手は止めず聞き返す。

「あ…あん……あの、もしわたしが…ダメって言っても、や、やめないで…やめないで……」
 全部あげるから

 蘭は必死に首を曲げて告げた。

「うん、全部もらうよ。ボクも全部あげるね」
「うれし…あぁ……あっ…ん……きもちい……あぁ!」

 奥の方を強めに抉ると、途端に蘭は切羽詰まったような悲鳴を上げて仰け反った。

「ここがいいの?」

 同じ個所をまたぐりぐりとくじり、コナンは聞いた。
 声も出せないのか、蘭は息を詰めたまま何度も頷いた。紅潮した頬が何とも艶めかしい。

「じゃあいっぱいしてあげるね」
「そこだめっ――……だめぇ!」

 言ってコナンが重点的に責め出しいくらもしない内に、蘭は、抱えた足に強くしがみつくようにして絶頂を迎えた。

「あ、ああ……」

 びく、びく、と不規則にわななき、それからややあって蘭は全身の力を抜いた。

「……お尻で…いっちゃった」

 ベッドに力なく四肢を投げ出した格好で、蘭は半ばぼんやりと呟いた。

「いっちゃったね」

 後孔の浅い部分でゆるゆると指を抜き差ししながら、コナンは応えた。
 絶頂の余韻か、無意識か、そこは時折きゅっと締まってコナンの指を締め付けた。
 ふと目をやると、すっかり充血しきった花芽が起ち上がって震え、新しい刺激を早く早くと望んでいた。
 迷う事無く、コナンは強く吸い付いた。

「やあぁっ!」
 驚くような声が蘭の口から迸る。
 びくっと竦んで閉じようとする足を掴み、コナンはやや強引に開かせた。少し抵抗があったがすぐに消え失せ、自ら開くように蘭は力を抜いた。

「ずっとほったらかしにしてゴメンね」

 コナンは言って、親指と人差し指で上から花弁を開きそこに顔を埋めた。

「あうぅ……」

 近付く吐息に四肢を震わせ、蘭はゆるく首を振った。

「や、や……くう、あ、あ……うぅ…んん!」

 後孔を擦られながら花芽を舐められる刺激は強烈で、じんじんとした疼きに花弁の縁が腫れぼったく感じるほどだった。

「あああ! コナンく……それ、あぁっ!」

 かたくしこった柔芽を指先でいやというほど擦られ、たちまちせり上がってくる絶頂感に蘭は目を眩ませた。

「やあ、やああ! ああそれ、そこぉ……あ、ああぁ!」

 その間も後孔の奥深くをくじる動きは止まらず、二か所から同時に注ぎ込まれる激しいほどの愉悦に蘭は耐えきれないとばかりに身悶えた。目の縁にじわっと涙まで滲んでくる。

「あく、くうぅ! お尻…お尻だめ、あ、あぁお尻は……あぁ…いくう! いく…いく…いっちゃう……ああ、あうぅ!」

 ばさばさと髪が乱れるほど首を打ち振り、蘭は低くうめいた。

「コナン君…コナンくん……ああ、ああぁ……いくっ……!」

 女が息を詰める。
 それを合図と受け取り、コナンはより深く指をねじ込み、先刻彼女が強く反応した箇所を何度も擦った。同時に柔芽を口に含んできつく吸う。

「ひぅっ――!」

 びくびくっと痙攣めいた動きで全身を波打たせ、蘭は極まりに達した。

「は、はぁ…は…はぁ…あぁ……」

 静かに指が引き抜かれるのを、蘭はぼんやりと感じていた。ああ、気持ちいい、気持ちいい…達した後の余韻にうっとり浸る。
 しかしコナンはまだ解放する気はなかった。
 まだ肝心の場所に触れていない。
 しどけなく寝転がる女のへその辺りに口付けると、コナンは味わうようにねろりと舐めた。

「ん……」

 じわっとくすぐったい刺激に淡く笑って、蘭はゆっくり目を開けた。

「あう……」

 直後、重い刺激が下腹を襲う。
 いったばかりで狭まった膣内に前触れなく二本の指を埋め込まれ、蘭は抗議めいた顔でコナンを見やった。

「まだ…だめ」
「ダメじゃないでしょ」

 封じるように言って、コナンはずぶ、ずぶと弾みを付けて何度も突いた。

「や、だめぇ…まだくるし……」

 コナンは答えず、ただ笑うばかりだった。
 ぐちゅぐちゅと蜜を絡ませながら抜き差しを続け、蘭に嬌声を紡がせる。

「あ…あ……ああぁ…ん、は、…あぁ…あぅ……あぅう!」

 少し息苦しそうに喘いでいるのがたまらない。コナンは内襞を抉るように指を折り曲げたまま抽送を繰り返した。
 そして、すっかり蜜にまみれ溺れそうになっている柔芽を唇で包む。
 過敏になったそこへの刺激に蘭はびくっとわなないた。

「ああ! コナンく…そこだめ! そんなにしたら――」
「すぐいっちゃう?」

 蘭は困ったように眉根を寄せ頷いた。

「いいじゃない。何度でもいっていいよ」
 全部もらってあげる

 いっそ静かな低音に背骨がびりびりと疼いた。

「ああ――やああぁ!」

 それが引き金となって、蘭は一際高い嬌声を上げ達した。

「うぐぅ……!」

 はちきれんばかりの愉悦にうめいた途端、下腹からぷしゃあっと熱い滴が放たれる。
 蘭はコナンの手を合間に挟んだまま足を閉じ、びく、びく、と身を竦ませた。
 ぜいぜいと全身で大きく息をつく。
 ひくひく、ひくと膣内が不規則に痙攣めいた締め付けを繰り返す。何度も締め付け、包むように絞るように狭まる内襞の動きをうっとり味わいながら、コナンはまた前後に動かしはじめた。

「あ、あ…もうや…もう、ダメ……コナンく……!」

 きつい通り道を強引にこじ開け、擦り立てる二本の指にいやいやと首を振り、蘭は何とか逃れようともがいた。けれど立て続けにいかされ疲れた身体は重く痺れて、思うように動かせない。それでいて、膣内にもたらされる強烈な刺激には敏感に反応してしまう。

「もうやだ、もういきたくな……や、いや…あ、あぁ…あぁあ!」

 シーツに擦り付けるようにして腰を揺すり、蘭は弱々しく泣き喚いた。

「……こんなに濡らしていきたくないなんて…ウソばっかり。ほら、ちゃんと足開いて」

 片方の腿に手をかけ、コナンはぐいと押しやった。内股までぐっしょりと濡れ、新たに蜜を垂らしながら二本の指を美味そうにしゃぶる下腹が露わになる。その光景はひどく淫らで、目眩を誘うほどだった。
 コナンは半ば無意識に笑みを浮かべ、ぐちゅっぐじゅっと卑猥な音を立てながら抜き差しを続けた。

「ダメ…だめぇ……だ、め……やあぁっ! ああ!」

 コナンの細い指が深奥に達する度、脳天にまで強烈な痺れが響き、それに伴って身体が絶頂目がけて走り出す。
 やめたいのかしたいのか、もう嫌なのかまだ欲しいのか。

「あぁ、あ! ひっ…だめ、だめっ! あうぅ! や、あぁ!」

 蘭は激しく喘ぎながら片方に手を伸ばした。

「ダメ……? もうやめる? どうする蘭姉ちゃん」
「あぁ、あ、やだ、あ、あ、やめちゃやだぁ、ああん……」
「じゃあ続けていい?」

 尋ねるコナンを悲痛な顔で見つめる蘭。

「……そんなにいい声が出せるのに」
「あ、あっ……だ…て、いくの怖い…あうぅ…ん、んん……これ以上いくの……こわい、から、あん、んん!」

 途切れ途切れに訴え、蘭は縋る眼差しをコナンに向けた。

「怖くないよ。大丈夫、いっぱい声出していいから、暴れて構わないからもっとしよう……ねえ、蘭姉ちゃん」
 もっとしよう

 囁き、コナンは小刻みに深奥を突いた。
 柔らかな粘膜を執拗に擦られ、腰が抜けそうな錯覚に蘭は大きく喘いだ。

「ああ…ああぅ……わ…わたしもしたい……あぁ! やだ、や…ああいくっ……また――いくぅ!」

 がくがくと全身をわななかせ、蘭は達した。
 たちまち膣内がぎゅっと窄まり、軽い押し引きでは動かせないほどに指を捕える。
 そこをあえて強く擦り抜いて、コナンは拳を打ち付けるようにして何度も深奥を抉った。

「いや! いやぁ……ああどうして……どうしてぇ……」

 蘭は半狂乱になって髪を振り乱し泣き叫んだ。苦しいからか度を超えた快感か、ぽろぽろっと涙が零れる。

 どうしてやめてくれないの
 どうして自分の身体はまだほしがってるの
 どうしてこんなに責められてるのに、たまらなく気持ちいいの…

 ひ、ひ、と切れ切れにしゃくり上げ、蘭はタガが外れたように身をくねらせ声を迸らせ、底なしの快感に溺れ浸った。
 休む間もなく襲ってくる快感が怖い、怖いけれど、もっとしたい。
 何も分からなくなるくらい、彼としたい。
 求められたい。
 自分の何もかもを見せたい。
 全部あげるから、全部受け取ってほしい。

「ひっ……いい! ああ、く、うぅ……きもちい…気持ちいい! すごく、あぁ…はぁ、あ…い、いい…もっと…もっと、ああ、し…しんいち……!」

 内側をぐりぐりとくじる指に合わせて腰をくねらせ、蘭は恍惚とした表情で愛しい男の名を呼んだ。
 同時に膣内がきゅうっと収縮する。
 呼び縋り全身で欲しがる女にきつく目を閉じ、コナンは擬似的な射精を味わおうとより強くより深く指を食い込ませた。

「ああ、また…またくる……いっちゃう…きちゃううぅ!」

 迸る甘い嬌声がコナンを強く抱きしめる。

「……あぁ」

 錯覚に溺れ、コナンはうめいた。ぶるぶると身を震わせ、閉じた目の奥で彼女の中に欲望を吐き出す自分を思い浮かべる。

「ああぁ! あぁ――! うああぁぁぁ!」

 ありったけの声でわめき、蘭は激しく絶頂した。
 長く尾を引く悲鳴を聞きながら、コナンもまた同じものを味わっていた。
 荒い呼吸に肩を上下させながら、コナンはそっと指を引き抜いた。

「んう……」

 内部から去ってゆく異物に蘭は微かにうめいた。
 その唇が落ち着く前に、また無理やり嬌声を紡がされる。
 乱れに乱れた下腹を、コナンが舐めはじめたのだ。

「あぁ……やだ…や……」

 痛いほど熱を帯び鋭敏になった花弁の縁を、それより熱い粘膜が這う。
 蘭は息も絶え絶えに訴えた。

「……まだしたいよ、蘭姉ちゃん」
 もっとしようよ

 顔を上げ見つめてくるコナンをぼんやりと見つめ返し、蘭は疲れ切った様子で首を振った。

「おねが…あっ…もっ……くるしいの……、いきたくな……こわいよぉ……」

 舌が這う度、むず痒いほどの愉悦がじわっと沁み込んでくる。
 必死に腰をずらし、逃げようとのたうつ。
 緩慢な動きを追えないわけもなく、コナンは構わず指先で腫れた花弁をゆるゆると撫でた。

「怖い事なんてないよ。怖くないよ。だからしよう」
「やぁ…やだ、やだ…コナンく……お、おかしく…なっちゃうから」

 蘭が涙交じりに懇願する。
 こんなに疲弊しているのに、少し撫でられただけでまた欲望が込み上げてくるのを、蘭はおののきながら感じでいた。

「だめ、しよう。そんな事言えなくなるくらいしよう」
 いっぱいしようって言ったでしょ……

 にちゅにちゃと膣口を撫でていた指をぬるりと埋め込み、コナンは軽く左右に揺すった。そしてぐぐっと根元まで指を進め、更に奥をくじる。

「ひいぃ……ひっ…いや、あ、あ…あぁ」

 内部を擦られるとたちまち火がつき、一気に燃え上がる。蘭はきつく眉根を寄せて喘ぎ、たまらないとばかりに腰をうねらせた。
 あわせて媚肉も奥の方まで妖しく蠢き、咥え込んだコナンの指に幾重にも絡み付いて舐めしゃぶった。

「ほら、まだしたいって言ってるよ…だからしよう」
「あぅう…いやあ……」

 蘭は重たい腕を持ち上げて頬に零れた涙を拭い、気だるそうに首を振った。
 でも本当は、嫌ではない。
 だってこんなに身体がしたがっている。
 彼も欲しがっている。
 もっとしたい、もっともっと…蘭の心を見透かして、コナンはあどけない声を発した。

「いやじゃないでしょ。蘭姉ちゃんは、こんな風に…無理やり何度もいかされないと満足しないでしょ」
「ああそんな…おく…かきまわしちゃだめ……あぁ、ああん」
「ほら、濡れてきたよ…溢れてきた。もっとしたいって言ってるよ」
 だからしよう

 低い囁きが脳をも犯す。

「ああ、あぁ……そこぉ!」

 不意に肉芽を吸われ、蘭は悲鳴交じりに喘いだ。溺れ切ってとろんとした眼差しを中空にさまよわせ、気持ちいいと呟く、

「ほら……いい声。蘭姉ちゃんここが好きだよね。どうしてほしい……?」
 なんでもしてあげる

 優しく注ぎ込まれる囁きに目を潤ませ、蘭は苦しい息の下から訴えた。

「なんでも…なんでも好き……だからもっとして…してぇ…もっと、したいよ……ああ、奥も……奥も気持ちい…ああ、もっとほし……ん、んぅ……う、く、しんいちぃ……!」

 熱に浮かされ、蘭はありったけの願いを口にした。
 応えてコナンは内も外もあまさず責め、指と舌とで交互に花芽を擦り上げた。

「ああだめ…しびれちゃう……お腹熱いよぉ……ひ、いい…そこ…いい……気持ちいい――!」

 内側をごりごりと抉る動きが、花芽を転がす指がたまらないと、蘭は激しく身悶えた。がくがくと腰を上下させ、見せつけるように大きく開き、おかしくなっていいと言われた通りの痴態を見せる。
 目の前で激しく乱れる女にコナンもタガが外れる。
 もっともっと与えてやろうと、自分のものに見立てた指でより深いところを繰り返し突く。

「あぐ、ぐっ! あうぅ!」

 腰も抜けそうな激しい突き上げにぐうっと背を反らせ、蘭は更なる高みへと意識を飛ばした。

「あぅ、いく、いく、いくぅ! お願い、おねがいコナン君…いっちゃう、ああおねがい…ひぃっ! ひいいぃぃ!」

 がくがくっと全身を弾ませ、のたうちまわり、蘭は一際強烈な絶頂を迎えた。
 悲鳴は唐突に途切れ、後には二人分の荒い呼吸のみが残った。
 徐々に収まってきた頃、蘭の口から微かな囁きが零れた。
 大きく喘ぐように呼吸する合間に紡がれる「好き」その短さゆえにコナンは微笑まずにいられなかった。
 コナンは寄り添って寝そべると、すぐに腕を回して抱き寄せた。
 蘭も同じく抱き返したかったが、まだ手も足もだるく思うように動けない。代わりに頬をすり寄せ、嬉しげに微笑む。

「髪、くしゃくしゃになっちゃったね」

 コナンはシーツに散らばった女の長い髪を丁寧に手に集めると、先端へとゆっくりたどった。
 頭を撫でてくれる小さな手にむず痒そうに笑んで、蘭は口を開いた。

「髪洗ったら、さっきみたいに乾かしてくれる?」
「うん、きちんと乾かしてあげる」
「さっきみたいにとかしてくれる?」
「うん、綺麗にとかしてあげるよ」
 蘭姉ちゃんの綺麗な髪が、もっともっと綺麗になるように

 恥ずかしそうにしながら甘えてくる女をしっかり抱きとめ、コナンは言った。
 何度も重ねられる綺麗だと称賛に素直にありがとうと返し、蘭は唇をほころばせた。

「嬉しい。じゃあまかせよう」
「うん、まかせて」
「あと五分したら、お風呂行こう」

 柔和な眼差しから一転険しい顔付きになり、蘭は続けた。

「コナン君がいじめるから、すぐ起き上がれない」

 そう言われては苦笑するしかない。ここで、自分も欲しがってたくせに…言おうものなら、五倍か十倍言い返され厄介な事になる。

「……ごめんなさい」

 だから渋々とはいえ詫びを口にする。
 すると蘭の顔が今度は困ったような表情に変わる。
 何も言ってはこないが、無理やり謝罪をむしり取った事を済まなく思っているのだろう。

 まったく、面倒な女…だから自分は

 言うには照れくさい言葉の代わりに顔を寄せ、コナンはゆっくり口付けた。
 蘭は目を閉じ応えた。
 どちらからともなく、くすくすと笑い声を零す。
 そして五分が経ち、二人は仲良く手を取って風呂場へと向かった。

 

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