XXX-キスキスキス-キャンディ |
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メロン オレンジ ストロベリー レモン ソーダ……
透明なプラスチックの棒つきキャンディ。 一つだけ本物。どれがいい?
差し出された五つの棒つきキャンディ。 一つだけ本物、さあどれだろう?
「かわいいでしょう、昨日園子と駅前の雑貨屋さんで見つけたの」
うきうきと弾む声。かわいいと思う気持ちは分かるけど、分からない。
「さあ、どれか一つ選んで」
あたりか、はずれか。本物は一つだけ。 どれも本物に見える。本当に一つだけ? 見た目はぜんぶ同じ。何から何までどこもかしこも。 ならばと選ぶふりして君の表情を追っても、答えが導き出せない。 探偵失格か? 焦るな、焦るな。
彼女の手の中に五つの棒つきキャンディ メロン、オレンジ、ストロベリー、レモン、ソーダ…… 分かりそうで、分からない。 後は運任せ。君の目が一番輝いたキャンディを選ぶ。
「それでいいのね?」
手の中にはストロベリーキャンディ。いたずらっ子のように笑う君。
「じゃあ、なめてみて」
くすくすともれる声は、あたりか、はずれか。 思い切ってひと口。
「おおあたり!」
とびきりの笑顔がはじける。 分かるような、分からないような。
つられて笑う目の前で、君がキャンディにキスをする。 そんな不意打ちにやられる。
誰より無敵の君。
分からない事で笑う君に安心する 分からない事で笑う君がとても愛しい |